北大西洋条約機構(NATO)首脳会議がトルコの首都アンカラで7、8両日に開催され、集団防衛義務の再確認など一定の成果を挙げた。しかし、トランプ米大統領の欧州に対する不信感は根強く、会議終了後も衝突の火種がくすぶっている。さらに、来年の首脳会議開催が見送られるとの観測も浮上している。
トランプ氏、欧州撤兵の条件示す
トランプ氏は8日の首脳会議後の記者会見で、加盟各国が「大きな結束を示した。会場は愛に包まれていた」と述べ、これまでのNATO批判を封印した。しかし、帰国途上の大統領専用機内で記者団から欧州駐留米軍を撤収させるか問われると、「(デンマーク自治領)グリーンランドとイラン(への欧州の対応)次第だ」と答えた。
首脳会議中にトルコ大統領と会談した際にも、「グリーンランドは米国が支配すべきだ」と発言していた。トランプ氏は今年1月、グリーンランドの領有を主張し、反対する欧州8か国に追加関税を課すと発表した。その後、北極圏全体の枠組みを協議することでNATOと合意し、いったん撤回していたが、今回の問題再燃となった。
デンマーク首相、領有権を強調
デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は8日、記者団に対し「グリーンランドは売り物ではない」と断言し、デンマーク領として防衛する姿勢を改めて強調した。
首脳宣言には、北大西洋条約5条に基づく集団防衛の確認や、ウクライナへの2026年支援額として700億ユーロ(約13兆円)を盛り込むなど、欧州側が望む内容が含まれた。しかし、2024年の宣言が44項目だったのに対し、今回は6項目と昨年に続いて簡素な内容にとどまった。
来年の首脳会議開催に黄信号
また、昨年の合意文書でアンカラの次の首脳会議の開催地として記載されていたアルバニアへの言及が消えた。2021年以降、毎年開催が慣例となっていたが、その慣行を取りやめる可能性が指摘されている。
ブリュッセルの調査研究機関「欧州政策センター」のユライ・マイシン政策アナリストは、「トランプ氏との対立リスクは残るが、ロシアに米欧の結束を示すため、首脳会議は毎年開くことが望ましい」と指摘した。



