トランプ米政権が7月、米国の主権を脅かしているとして国際刑事裁判所(ICC)の「解体」を目指す考えを示したことが、波紋を広げている。この動きは国際的な規範の弱体化を加速させるのか。
もともとICC非加盟の米国では、解体論への賛否が交錯。これに対し、欧州の主流メディアや研究者の間では、ICCの不完全さを指摘しつつもその存在意義を強調する論調が目立つ。
「廃止に値する」との主張
トランプ政権は、ICCが米国の主権に脅威をもたらしているとして、圧力を一段と強めている。米メディアの中では、「ICC解体」を唱えたルビオ国務長官の寄稿(7月14日付)を掲載したウォールストリート・ジャーナル紙がこれに追随しており、24日配信の社説でも「ICCは廃止に値する」と主張した。
そもそも米国の歴代政権は、2002年のICC設立当初から批判的立場を示してきた。政治的意図による米国人の訴追を懸念しているためで、今に至るまで一度も加盟していない。
トランプ政権の非難とICCの対応
トランプ政権も、ICCがアフガニスタンでの戦争犯罪で米兵を捜査対象としたことや、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡る戦争犯罪と人道に対する罪の疑いでイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を発行したことを強く非難してきた。
同紙は社説で「ICCは米国の主権に対する脅威だという点でルビオ氏は正しい」と主張。ネタニヤフ氏の逮捕状を請求したICCのカーン主任検察官が今年7月、女性職員への性加害疑惑で解任されたことを受け、「ICCに敬意を払う必要がないことをこの一件は示した」とした。
加盟国の動向と今後の課題
ICCには日本など125カ国・地域が加盟するが、ルビオ氏は各国に脱退を促している。これまでにベネズエラとチャドが応じる意向を示しており、AP通信は7月28日、「ICCは困難な課題に直面している」と報じた。



