ロシアのウクライナ侵略の長期化に伴い「戦争特需」が見込まれてきた北朝鮮で、経済的な見返りの少なさが指摘されている。研究者の分析では、北朝鮮が提供した武器や兵力などは最大98億ドル(約1兆5500億円)相当である一方、ロシアから確認された対価は最大約12億ドルにとどまる。北朝鮮では紙幣の過剰発行などを背景に通貨が急落し、インフレ圧力も高まっており、ロシアへの軍事協力が経済苦の緩和につながっていない実態が浮かぶ。
露朝の取引実態
北朝鮮は2022年にウクライナを全面侵攻したロシアに武器や弾薬を供給。24年にはロシアと事実上の軍事同盟である包括的戦略パートナーシップ条約を結び、兵士約1万5000人をロシア西部の前線に派遣してウクライナ軍との戦闘や復興作業に参加させてきた。北朝鮮は増派を進める構えだ。ウクライナのゼレンスキー大統領は8月8日、北朝鮮が露国内で最大5万人の兵士を展開することを「決定した」と言及した。
露朝の取引は、両政府の発表や物資入りコンテナの移動を捉えた衛星画像、西側諸国の情報機関による分析などから推定されているが、全容は明らかでない。
見返りの不均衡
露朝関係を研究するウクライナ人研究者で、韓国外国語大学講師のオレナ・グセイノバさんは昨年9月に発表した報告書で、公開情報を精査して露朝の取引状況を分析した。推計によると、23年~25年半ばにかけて北朝鮮がロシアに供給した武器や弾薬、兵員などの価値は総額58~98億ドル相当に上ったのに対し、ロシアから北朝鮮に見返りとして移転や合意が確認されたのは食料や石油、戦闘機など総額約4億~最大12億ドルにとどまるという。



