ミャンマー親軍政権、国連大使交代圧力は暴力停止を優先せよ
ミャンマー親軍政権、大使交代より暴力停止を優先せよ

ミャンマーの親軍政権が、自国のチョーモートゥン国連大使を退任させようと圧力を強めている。しかし国連はこれを受け入れず、同氏は大使を続けている。親軍政権の問題性を如実に物語る事態だ。

国連大使の交代圧力とその背景

大使は2021年の国軍によるクーデター前、当時の民主派政権に任命された。クーデター後も国連で国軍を批判してきた。親軍政権は声明で「国家に反逆し、非合法組織に忠誠を示した」と同氏を非難し、退役軍人を後任の国連大使にしようとしているが、その承認は国連から得られていない。

続く内戦と国際社会の対応

4月の親軍政権発足後も、国軍側と民主派勢力らによる内戦が続いている。多数の犠牲者や避難民が出ており、民主化指導者のアウンサンスーチー氏も軟禁されたままだ。日本や米国、欧州など多くの国は、軍事政権の流れをくむ親軍政権を承認していない。国連が人事を認めないのも無理はない。

親軍政権の外遊とASEAN復帰の狙い

親軍政権がなすべきは大使の交代ではなく、国内での暴力を直ちにやめることだ。しかしその兆しは全くみられず、むしろミンアウンフライン大統領は外遊を重ね、親軍政権の正統性を訴えることに躍起だ。インドやロシア、タイ、ラオスなどのほか、クーデター後のミャンマーと一定の距離を取っていたマレーシアも10月に訪問した。その背景には、クーデター後に排除された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議などに正式復帰する狙いがあるとされる。

ならば、暴力の即時停止や全当事者間の対話開始など、ASEANがミャンマー側と合意したとする5項目の復帰条件を確実に実行することだ。親軍政権は合意内容を否定しているが、ASEANは合意の履行以外にミャンマー復帰を認めるべきではない。人道状況が改善しないまま、11月のASEAN首脳会議への復帰を安易に認めるようでは禍根を残す。

日本の対応と今後の課題

日本は未承認ながらも親軍政権との対話を続けており、吉武将吾駐ミャンマー臨時代理大使は10月、ティンマウンスウェ外相と首都ネピドーで会談した。日本政府は米欧と協力しながら、ミャンマーの安定が早急に実現するよう、引き続き働きかけてもらいたい。