13世紀にモンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンの「教え」が記されたとみられる古文書(写本)が、モンゴルの寺院遺跡の発掘調査で見つかった。調査をした大谷大(京都市北区)の研究者らによると、知恵や方策の重要性が説かれており、チンギス・ハーンのリーダー像が浮かび上がる貴重な成果だという。同大が16日、発表した。
白樺樹皮にモンゴル文字で墨書
写本は、モンゴル中央部のウブルハンガイ県にある仏教寺院「オロン・スム寺院」の跡(16世紀後半~17世紀前半ごろ)で行われた、日本・モンゴル両国の共同調査で今年8月に出土した。シラカバの樹皮にモンゴル文字が墨書されていた。
日本モンゴル学会の会長を務める大谷大の松川節名誉教授によると、冒頭にチンギス・ハーンの名前が確認されたという。「計略と知恵を使いこなせれば、野生の羊の子を殺して食べることができる」などとする教えが記されているという。子息たちを教え諭そうとする言葉という。
17世紀末の年代記と類似の記述
17世紀末のモンゴル語による年代記「アルタン・トブチ」には、「計略と知恵を知れば 山にいる野生の羊を殺して食べることもたやすい」など、今回の記述と似た「チンギス・ハーンの訓戒」があるという。チンギス・ハーンの他の発言や教訓は、「元朝秘史」などの文献でも確認できるが、発掘調査で出土した事例は、これまで報告されていないという。
チンギス・ハーンは、モンゴル帝国を築いた指導者として知られる。松川名誉教授は、今回見つかった教えをチンギス・ハーン本人の発言と断定することはできないとしながらも、「武勇だけでなく、知恵を備えた理想的な指導者として記憶され、後世に伝えられていたことを示す資料」と評価する。