イエメンの親イラン民兵組織フーシ派が、イエメン暫定政権を支援するサウジアラビアへの攻撃を激化させている。10日にはサウジの首都リヤドの国際空港を弾道・巡航ミサイルやドローンで攻撃し、米国人ら13人が死亡、300人超が負傷した。ビジネスマンや巡礼者など、大勢の民間人が利用する空港への大規模攻撃は許し難い。
エネルギー供給への深刻な影響
フーシ派はサウジ国有石油会社、サウジアラムコの本社や施設も集中的に攻撃しており、各国へのエネルギー供給に深刻な影響を及ぼす恐れがある。フーシ派は9月、イエメン沿岸一帯の街を制圧し、紅海の出入り口にあたるバベルマンデブ海峡も掌握した。同海峡は、イランが事実上封鎖してきたホルムズ海峡に代わるサウジの原油輸送の要衝だ。サウジとの局地戦を超え、世界の重要航路にまで打撃を与える行為は看過できない。
背後にイランの存在
国連安全保障理事会は15日、フーシ派の攻撃を「最も強い言葉で非難する」と断罪した。フーシ派の一連の動きの背後にはイランの存在がある。ロイター通信によると、サウジとの9月の交戦は、イランの革命防衛隊が支援したという。防衛隊幹部がイエメンに入って、サウジ攻撃を監督・指揮した。
イランとサウジの両外相は最近、電話会談を行った。イラン外相は「軍事的アプローチに固執し政治的解決を無視すれば、現状は複雑化する」とし、対話促進を支援する用意があると伝えた。しらじらしい発言だ。フーシ派の後ろ盾として、攻撃を中止させるのが筋だ。
国際社会の対応と日本の役割
サウジは8月、パキスタン、トルコと「メッカ共同防衛協定」に署名した。パキスタンとトルコは協定に基づき、対フーシ派作戦で偵察活動などにあたっている。ただ両国とも、イランとの関係悪化を恐れ、本格反攻に及び腰なのが実情だ。
当面、焦点となるのは米国の動きだ。トランプ米大統領は、フーシ派のサウジ攻撃を非難するが、11月上旬の中間選挙を前に、具体的行動に踏み出しにくいのも事実だ。中東情勢の不安定化は、中東産原油に依存する日本にとってひとごとではない。高市早苗政権は国際社会と連携し、事態沈静化への道を積極的に探ってほしい。