米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に署名してから16日で60日となる。その間も攻撃の応酬があり、事態の収束は見通せない。斉藤貢・元駐イラン大使は「追い込まれている米国に対して、イランが強気に出ている状況だ」と話す。
覚書が長続きしないと見る四つの理由
覚書に基づく協議は進んでいないように見える。斉藤氏は元々この覚書は長続きしないだろうと考えていた。理由は四つある。
一つ目がホルムズ海峡をめぐる立場の食い違いだ。米国にとって高騰する石油価格は政治問題につながる。価格を下げるためにホルムズ海峡の航行を再開させたい。一方でイランとしては、海峡の封鎖はトランプ米大統領に圧力をかける手段だ。海峡を開きたい米国と、封鎖しておきたいイランでは求めるものが真っ向から対立している。
レバノン問題と核問題の難航
二つ目はレバノン問題だ。覚書ではすべての戦線での戦闘終結が明記されているが、イスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルのレバノンでの戦闘は、米国もイランもコントロールできていない。
三つ目は核問題だ。これに関してはまとまる可能性がないわけではないが、2015年のイラン核合意の交渉には長い時間がかかった。覚書には60日で、と書かれているが、そんな短期間でまとめられるような話ではない。
トランプ氏の予測不可能性と今後の見通し
四つ目がトランプ氏の予測不可能性だ。彼の気まぐれさは覚書の履行のリスクになる。これらの理由から、現在の覚書が新たな合意のベースになる可能性はあっても、覚書自体が復活するとは思えない。
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