中国が沖縄県・尖閣諸島周辺や台湾海峡を含む東シナ海に設けた禁漁期間が16日に明け、福建省の漁港から多くの漁船が出港した。過去には数百隻が尖閣周辺に現れて緊張が高まったことがある。日中関係が悪化する中の漁解禁となり、中国側の出方が注目される。
福建省の漁港で多数の漁船が出港
福建省石獅の漁港では16日午前、中国国旗と共に、漁の安全や大漁を願う赤や黄色の旗を掲げた多くの船が爆竹を鳴らしながら次々と出港していった。地元紙・石獅日報系メディアは、石獅だけで654隻が出漁したと報じた。
過去の尖閣周辺での緊張
2016年8月には、尖閣諸島周辺に中国海警局の公船と200~400隻の漁船が押し寄せ、日本領海への侵入も確認された。公船と漁船は連動して航行したとみられ、日本側は、一方的に地域の緊張を高めたとして強く抗議した。
同年7月、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は南シナ海の中国の主権主張を否定する判決を出した。日本は中国に判決受け入れを求めており、挑発的な行動はこの反発との見方もあった。
中国当局の指示と変化
近年は、地元政府当局が漁業者に対し、「敏感な海域」で操業を行わないよう指示してきた。中国側は偶発的な事故による関係悪化を懸念している模様で、尖閣周辺の領海に侵入した中国漁船への海上保安庁の退去警告は、21年の81隻から25年には4隻に減少した。
今月7日には、石獅を管轄する泉州市当局が「敏感海域の監視を強化する」と呼びかけた。ただ、15日に取材に応じた50歳代の男性漁師は、尖閣周辺は豊かな漁場だとした上で、「日本に近づきすぎると監視する中国当局に捕まるが、『行くな』とまでは言われていない」と述べ、尖閣周辺での操業に含みを残した。
当局の動きにも微妙な変化がある。例年、中国政府が5月頃に出す通知で、昨年は「韓国、北朝鮮、日本など敏感海域の越境漁業を厳格に防止する」と記されていた。だが、今年4月30日付では「中韓の暫定措置水域での漁業操業を厳しく禁ずる」などとなった。日本への言及が消えており、「注視が必要」(外交筋)との見方もある。



