平均の世帯年収が1千万円を超えるアメリカで、人々からは「モノが高い」という声が上がっている。トランプ大統領がインフレは収まったと述べ、「黄金時代」が来たと超大国ぶりを誇っても、一握りの人間に富が集中するこの国で、市民の生活はどうなっているのか。その一端を取材した。
ニューヨークの高校教師、食費節約に励む
ニューヨーク市クイーンズ地区で一人暮らしをする高校教師のアントワネット・モレアさん(31)は、食費の節約に励んでいる。買い物はもっぱら格安店を利用し、野菜は安く長持ちする冷凍物を使う。昼食はまとめて作り置きし、冷凍庫へ。職場近くでランチを買えば、1600円(約10ドル)はくだらないという。
食費に1カ月9万5千円(600ドル)ほどかけていたが、いまはその4分の1から半分ほどに抑えている。モレアさんはいわゆる中間層で、年収は約1670万円(10万6千ドル)。ジムに行ったり、母親との旅行のためにお金をためたりと、余裕がありそうに見えるが、クレジットカードを使いすぎて支払いがたまったことで、2年ほど前から節約に力を入れるようになった。
食費の物価指数、6年間で約30%上昇
アメリカは農業大国だけに安い食材もあるが、特に都市部では全体的に上昇が続いているというのが実感だ。外食ではさらに割高感が強い。中間選挙の最大の争点は「アフォーダビリティー」、手の届く価格の実現である。一方、食品の値上がりによる家計の痛みは、実は日本の方が大きいのかもしれない。
外食も含む食費の消費者物価指数(CPI)は、6年前の8月と比べ、2026年8月時点で約30%上がった。モレアさんは節約の様子をTikTok(@debtfreeformom)で発信し、約1万7千人のフォロワーがいる。