トランプ米大統領は17日から始まった米韓合同軍事演習をめぐり、ヘグセス国防長官に規模の大幅縮小を指示した。トランプ氏はSNSへの投稿で、米韓演習について「私の大統領就任以来、脅威を与えず敬意ある態度を示してきた国に対して、不適切で敵対的なメッセージを送ることになる」と主張した。
韓国大統領府は歓迎
韓国大統領府は「米朝首脳間の友好関係が対話につながり、朝鮮半島の平和や安定の進展に向けた議論が始まることを期待する」と、トランプ氏の投稿を歓迎した。
北朝鮮の脅威は増大
だが、北朝鮮の軍事的脅威は増している。トランプ氏の今回の投稿や軍事演習の唐突な縮小は、北朝鮮の独裁者である金正恩朝鮮労働党総書記にかえって誤ったメッセージを送るものだ。妥当とは到底言えない。
北朝鮮は、ウクライナを侵略するロシアを支援するため、陸軍の派兵やミサイル、砲弾の提供を続けている。対価としてロシアから巨額の資金や軍事技術を得ている。それを核・ミサイル戦力に加え、通常戦力の強化に費やしている。北朝鮮軍はウクライナ軍との戦いで、無人機(ドローン)を用いた戦いに習熟しつつある。
日韓を脅かす北朝鮮
北朝鮮は敵対視する韓国を強く批判し続けてきた。中国に同調して、抑止力向上に努める日本を「戦争国家へ変貌」したと非難している。日本への対抗措置として「軍事的な選択肢を追加設定する」「必ず後悔させる」と宣言している。
米国の同盟国である日韓を脅かしているのが北朝鮮だ。トランプ氏は、同盟国が直面する脅威も念頭において外交安保政策を展開してもらいたい。米韓演習を大幅に縮小すれば、金指導部は増長し、暴走の恐れもある。そうなればかえって米国も巨額のコストを払うことになる。
対話再開を狙うのか
トランプ氏は融和姿勢を示して北朝鮮との対話再開を狙っているのかもしれない。だが、「力の信奉者」の金指導部から侮られるだけではないのか。対話の模索には米韓演習を予定通り実施する方がましだろう。
米韓演習の規模縮小は、日本や北東アジアの安全保障に負の影響を及ぼしかねない。高市早苗政権は防衛力を着実に高めるとともに、米韓両国に抑止力低下を招かぬよう説くべきだ。



