韓国の半導体大手SKハイニックスは24日、45兆4500億ウォン(約4兆7500億円)の調達を目指し、米国預託証券(ADS)のナスダックへの上場を申請した。AIサプライチェーン各社はメモリーチップ需要に対応するため、生産能力の拡大を急いでいる。為替レート次第だが、ブルームバーグ集計データによると、この上場は過去最大級の株式売出しの一つで、2019年のサウジアラムコによる当時過去最大の新規株式公開(IPO)に匹敵する規模になる可能性がある。
AIインフラ投資の波と資金調達ラッシュ
ここ数カ月、企業はAIインフラ整備の資金を確保するため、過去最高水準の資金調達を続けている。スペースXは今月初めに過去最大のIPOを実施し、アルファベットもAI関連計画の資金として850億ドルを調達する方針だ。SKハイニックスのナスダック上場は、投資家の需要と、市場がこうした巨額案件を吸収できるかを測る試金石となる。AIスタートアップのアンソロピックとOpenAIも、早ければ今年中に数百億ドル規模の資金調達を目指す可能性がある。
上場スケジュールと市場の反応
24日に提出された届け出資料によると、SKハイニックスは7月10日の取引開始を予定している。米国預託証券(ADR)の発行発表を受け、同社株は時間外取引で上昇幅を拡大した。SKハイニックスやサムスン電子、マイクロン・テクノロジーといった高帯域幅メモリー(HBM)の主要メーカーは、世界的なAIインフラ拡大の要所を握っており、こうした企業の製品供給がデータセンターを拡張するうえでのボトルネックとなっている。
HBM市場での圧倒的なシェア
カウンターポイント・リサーチのデータによると、SKハイニックスは2025年10~12月期(第4四半期)、売上高ベースで世界HBM市場の57%を占めた。それでも、同社株はマイクロンと比べ割安に取引されている。FTSEラッセルの投資リサーチ部門グローバル責任者、インドラニ・ディ氏は「韓国企業が市場シェア80%を握るHBM市場では供給不足が続いており、その状況は今後数年続くと予想されている」との見通しを示した。
調達資金の使途:生産能力増強とEUV装置購入
届け出によると、SKハイニックスは調達資金を生産能力の増強と、極端紫外線(EUV)露光装置の購入に充てる方針だ。メモリーチップに対する尽きることのない需要を背景に、関連銘柄は急騰している。SKハイニックス株はソウル株式市場で年初来約300%上昇し、時価総額は1兆ドルを超えた。米国上場によって同社は新たな投資家層へのアクセスを得られるほか、競合他社との評価格差を縮小できる可能性がある。
TSMCの成功モデルを追う
既に米国に上場しているアジア企業には、台湾積体電路製造(TSMC)がある。TSMCは米国上場によって海外投資家資金を呼び込むことに成功し、特にAI相場の追い風を受ける中で、米国投資家に人気の銘柄としての地位を確立した。シンガポールのピクテ・アセット・マネジメントでポートフォリオマネジャー、ジョン・ウィザー氏は、SKハイニックスの米国上場について「動機の大部分は間違いなくTSMCのADRの成功にある。TSMCのADRは流動性が非常に高く、台湾上場株に対して恒常的にプレミアム付きで取引されており、世界中の投資家が容易に投資できる」と述べた。
半導体ブームの持続性に懸念も
ブルームバーグ・ニュースのイアン・キング記者は、投資家の間では半導体ブームが当分続くとの見方が広がっていると語る。この1年で株価は大幅に上昇してきたものの、状況がいつまで続くかについては懸念が強まっている。23日、SKハイニックスがAI向けメモリーチップの生産拡大ペースを鈍化させているとの報道が出ると、世界の半導体関連株は急落した。
アナリストの見方:短期的な売りも長期的には好材料
フィナンシエール・ド・レシキエでアジア株式部門責任者を務めるケビン・ネット氏は、「材料出尽くしによる売りが短期的に出る可能性はあるが、このニュースは総じてSKハイニックスにとって好材料」とみている。同氏は「上場によってSKハイニックスはさらなる投資のための資金調達がしやすくなるほか、株主還元が拡大する可能性も高まり、マイクロンに対するバリュエーションの割引も縮小するだろう」と述べた。
主幹事と銘柄コード
SKハイニックスの米国上場は、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェースが主幹事を務める。銘柄コードは「SKHY」となる予定だ。



