トランプ前米大統領が復帰した場合に導入が予想される追加関税が、日本企業に深刻な打撃を与える見通しだ。特に自動車、鉄鋼、半導体の3分野で影響が大きく、年間1兆円を超えるコスト増が発生すると試算されている。
自動車産業への影響
日本の対米輸出の約3割を占める自動車関連産業は、関税引き上げで最も直接的な影響を受ける。日本自動車工業会の試算では、乗用車に関税が20%課された場合、年間約8000億円の追加負担が生じる。トヨタ自動車は「北米生産の拡大で対応を検討する」とコメントしている。
ホンダや日産も同様の影響を受け、米国生産比率を高める動きが加速する。ただ、部品の多くを日本から調達しているため、サプライチェーン全体でのコスト増は避けられない。
鉄鋼・半導体にも波及
鉄鋼分野では、関税25%が適用された場合、日本製鉄やJFEスチールの輸出競争力が低下する。日本鉄鋼連盟のデータによると、対米輸出は年間約200万トンで、関税負担は約500億円に上る。
半導体分野では、先端半導体の輸出規制と関税が重なる懸念がある。東京エレクトロンやディスコなど半導体製造装置メーカーは、中国向け規制に加え、米国向け関税が新たな逆風となる。業界団体のSEMIジャパンは「技術流出防止と市場アクセスのバランスが課題」と指摘する。
サプライチェーン再編の動き
これらの関税リスクを受け、日本企業はサプライチェーンの再編を迫られている。多くの企業が生産拠点の米国シフトや第三国への分散を検討。経済産業省は「企業の投資判断に影響を与える可能性がある」と警戒する。
ただし、米国での生産拡大には設備投資や人材確保の課題もあり、短期的な対応は難しい。中小企業を中心に、コスト吸収が困難なケースも予想される。



