薬が効きにくい結核治療、偽装結婚と難民申請に賭けた女性の記録
薬が効きにくい結核治療、偽装結婚と難民申請に賭けた女性の記録

ジョージアの首都トビリシに住むナティア・キクバゼさん(45)は2014年、超多剤耐性結核(XDR-TB)と診断された。レストランで勤務中に突然激しい腹痛に見舞われ、病院で検査を受けたが原因は不明だった。2週間後、38度前後の高熱が続いたため再検査したところ、結核と判明した。

結核の治療と現状

結核の代表的な治療薬はイソニアジドとリファンピシンの2つだ。結核菌が突然変異によって両薬への耐性を獲得すると、多剤耐性結核(MDR-TB)となり、通常の結核よりも治療は長く複雑になる。薬は多くて毎日十数錠飲まなければならず、激しい副作用を伴う。効き目のある薬がさらに少ない超多剤耐性結核(XDR-TB)もあり、治療の成功率はぐっと下がる。

WHO(世界保健機関)の推計では、2024年には1070万人が新たに結核に罹患し、123万人が亡くなった。単一の病原体による死因としては世界で最も多い。日本も新規結核患者数が10万人あたり10人以下の「低蔓延国」になったのは2021年のことだ。BCGワクチンの効果は主に乳幼児の重い結核を防ぐもので、その持続期間は一般的に「10~15年」とされる。

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ジョージアの結核事情

ジョージアではMDR-TBの患者の割合が高い。WHOによると、2024年のデータではMDR-TB(一部にリファンピシン耐性を含む)の罹患者数(推定)は人口10万人あたり5.5人で、182の国と地域の中で43番目の多さだ。理由はソ連崩壊やその後の内戦で医療体制が混乱し、不適切な治療や治療の中断が横行したことにある。結果、結核菌が薬剤耐性を獲得して感染拡大したとみられる。これは旧ソ連諸国共通の問題だ。

トビリシから車で西へ約4時間、山岳地帯を抜けてさらに山奥に入ると、きれいに舗装された道路と新しく建設された宿泊施設が出現する。観光客でにぎわい、軽快な音楽が聞こえる大型リゾートエリアとして開発が進むアバストゥマニという町だ。数年前までジョージア人にとっては暗いイメージもつきまとっていた。薬が効きづらいMDR-TBの患者を「隔離」して治療するサナトリウム(長期療養所)があったからだ。

空気がよく、水もきれいなこの地には1800年代後半のロシア帝国時代にサナトリウムが作られ、重度の結核を患った皇帝の弟も療養した歴史がある。ソ連時代には施設が拡充し、ソ連から独立したジョージアにも引き継がれた。2019年に取り壊され、一帯はリゾート地として再開発されている。

偽装結婚と難民申請に賭けた望み

キクバゼさんは結核の専門病院に移って再検査を受けたが、この記事の続きは有料記事となる。彼女は治療のために偽装結婚と難民申請という手段に賭けたという。その詳細な体験は、GLOBE特集「結核」(全5回)の第3回で語られている。

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