米国とイランによる攻撃の応酬が激しさを増している。6月17日に両国がまとめた「覚書」に基づく和平交渉のプロセスを破綻させかねない危険をはらむ。ただ、覚書に対する双方の立場の違いをふまえれば、決して想定外ではない。事態は不透明感を増している。
発端はホルムズ海峡での船舶攻撃
今回の応酬のきっかけは7月6日以降、ホルムズ海峡でイランが指定する航路以外を通ろうとしていた船舶への攻撃だった。米国はイランの攻撃として反撃し、攻撃の応酬が4回続いた。
米中央軍は12日、「イランはホルムズ海峡を管理していない」と声明で強調し、トランプ大統領も米NBCで「海峡は開放されている」と強弁した。だが、そもそもイランが海峡への支配を及ぼしていないのなら、米軍が攻撃する必要もない。逆に米側の弱みを示している面がある。
米国の先制攻撃、政治的にはむしろ苦境に
米国は2月末のイランへの先制攻撃以降、軍事的優位を保っているものの、国際社会からの批判や中東地域での反米感情の高まりに直面している。トランプ政権は国内向けに強硬姿勢をアピールしたい一方で、長期化する軍事行動への懸念も強まっている。
イラン側も経済制裁下で苦しい立場にあるが、ホルムズ海峡を巡る問題で譲歩する姿勢は見せていない。両国の覚書は核開発や地域の安全保障を巡る包括的な合意を目指していたが、解釈の違いから交渉は停滞している。
覚書の解釈に埋まらぬ溝
覚書の内容は非公開だが、複数の外交筋によると、米国はイランに対し核活動の制限と弾道ミサイル開発の停止を求め、イランは経済制裁の全面解除とホルムズ海峡での航行の自由を要求している。双方が自国に有利な解釈を譲らず、溝は深まる一方だ。
専門家は「両国とも国内の強硬派を抑えきれず、妥協点を見いだせないまま応酬が続いている」と指摘する。今後の展開次第では、中東全体の安定が脅かされる可能性もある。



