ASEAN経済、米中摩擦で半導体シフト加速
米中対立の長期化がASEAN経済に大きな変容をもたらしている。特に半導体分野では、中国からの生産シフトが加速し、ASEAN諸国への投資が急増している。2023年のASEAN向け半導体関連投資額は前年比40%増の約200億ドルに達した。
ベトナムとマレーシアが主要受益国に
ベトナムでは、サムスン電子やインテルが半導体パッケージング工場の拡張を発表。マレーシアも、グローバルファウンドリーズやインフィニオンが新工場建設を計画している。両国は、地政学的リスクを回避する企業の受け皿として存在感を高めている。
一方で、タイやインドネシアも半導体サプライチェーンの一部として注目を集めている。タイは自動車向け半導体、インドネシアは資源を活かした部品供給で優位性を発揮する。
中国依存脱却と新たなリスク
ASEANの輸出に占める中国向け比率は2018年の20%から2023年には15%に低下。代わりに米国や欧州向けが増加し、経済の多角化が進んでいる。しかし、専門家は「ASEANが米中対立の狭間で新たなリスクに直面する可能性もある」と指摘する。
特に、米国による中国向け半導体輸出規制の強化は、ASEAN経由の迂回輸出を防ぐ措置を伴う可能性があり、地域の企業に影響を与える。
投資急増が雇用とインフラに与える影響
半導体投資の急増は、ASEAN諸国に雇用創出とインフラ整備の機会をもたらしている。ベトナムでは半導体関連雇用が2025年までに10万人増加すると予測される。しかし、熟練労働者の不足や電力供給の課題も浮上している。
マレーシア政府は「半導体産業の成長を持続可能にするため、教育とインフラへの投資を強化する」と表明。ASEAN全体として、技術力向上とサプライチェーンの強靭化が急務となっている。



