米国、ICC解体主張に国際社会から批判の声 法の支配への挑戦
米国、ICC解体主張に国際社会から批判の声

トランプ米政権が、国際刑事裁判所(ICC)の解体を求めていく方針を表明した。日本など多数の国が加盟する国際法廷へのあからさまな恫喝であり、国際秩序を支えてきた「法の支配」を破壊する試みに等しい。米国に方針の撤回を強く求める。

ルビオ国務長官の主張

ルビオ国務長官は米紙への寄稿で、ICCが海外の米軍人らを捜査対象とし、米国の主権を脅かしているとして「あらゆる手段を駆使して解体する」と主張した。具体的な措置として、加盟国に脱退を働きかけるほか、ICC職員らへの査証の取り消しや入国禁止、制裁強化などを検討する。

ICCの設立経緯と米国の立場

ICCは戦争に絡む残虐行為などを犯した個人を裁く国際法廷として2002年に設立された。1990年代に旧ユーゴスラビアやルワンダで大量虐殺が起きた際は、国連が事後に特別法廷を設置して対応した。その後、国連から独立した常設の国際法廷を条約に基づいて創設すべきだとの機運が高まり、ICCが誕生した。米国は加盟していないが、125もの国・地域が加盟する国際組織を批判するだけでなく、今になって解体を主張し、加盟国に脱退を迫るのは筋が通らない。

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トランプ政権の真の狙い

トランプ政権の真の狙いは、ICCが2024年11月、パレスチナ自治区ガザの紛争に関し、イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことへの報復だろう。トランプ政権は25年2月、イスラエル支持の立場から、ICCに制裁を科す大統領令に署名し、これまでに11人の検察官や判事らに制裁を発動した。今回はさらに踏み込み、ICC本体へと制裁を拡大することも検討するとした。ICCが米国の銀行や情報通信システムを一切使えなくなれば、機能不全に陥る恐れがある。

影響と日本の責任

影響は計り知れない。将来の裁きに期待を託し、証拠保全に取り組む被害者らの希望は打ち砕かれ、証人は口を閉ざすだろう。加害者や関係国への私的な報復やテロの連鎖に陥る可能性もある。「法の支配」をこれ以上後退させないためにも、ICCを守らねばならない。特に日本は最大の分担金拠出国で、赤根智子氏が所長を務めている。責任は重い。政府が米国の主張を「懸念を持って注視している」と表明しただけでは不十分だ。トランプ政権への配慮があるにせよ、これでは日本が掲げる「法の支配」重視の外交姿勢に疑問を与えかねない。日本は米国に翻意を促し、ICC支持を改めて示すべきだ。

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