ウクライナの首都キーウにある空き店舗のシャッターに、「きのこ雲」の前に立つ黒髪の少女が描かれた。この壁画を完成させたのは、ロシアとの戦争に従軍する現役兵士であり画家でもあるマクシム・リバルコさん(45)だ。
休暇中に1週間かけて制作
リバルコさんは休暇を利用し、同じく画家の妻アナスタシアさんとともに1週間かけてこの壁画を仕上げた。少女のモデルは、8歳で広島市に投下された原子爆弾に被爆した小倉桂子さん(88)である。その体験を大阪市のフリージャーナリスト吉村大作さん(46)が聞き取り、紙芝居「ケイちゃんの消えない雲」としてまとめている。壁画のモチーフは、その紙芝居の表紙絵だ。
吉村さんはこの作品を世界に伝える活動を続けており、6月にリバルコさんに連絡。リバルコさんは「休暇中に描く」と約束したという。リバルコさんは取材に対し、「核というテーマは、私たちウクライナ人の生活から一度も消えたことがありませんでした」と語った。
チョルノービリ原発事故の影響
リバルコさんの生まれ故郷であるキーウは、旧ソ連時代の1986年に爆発事故を起こしたチョルノービリ(チェルノブイリ)原発から約100キロの距離にある。事故後、家族は窓や扉を閉め切って生活するなど、放射能の影響に長年さらされてきた。
リバルコさんは現在もウクライナ軍の一員として戦っており、この壁画を完成させた後、再び戦場へ戻る予定だ。彼の作品は、戦争と原爆の悲劇を同時に伝えるメッセージとして、キーウの街角に残り続ける。



