スペインのペドロ・サンチェス首相は3日、7月末に北アフリカのスペイン領セウタへ不法移民が殺到した問題をめぐり、モロッコが画策したことを示す「確証」はないと主張した。一方で、モロッコ閣僚のセウタをめぐる発言については「容認できない」と激しく批判した。
警察報告書が指摘したモロッコ側の対応
7月30~31日の2日間で、モロッコからセウタに不法移民7万人以上が流入した。この際の混乱で、防波堤の周りを泳いで不法入国しようとした多くの人々が水死するなど、多数の死者が出た。
AFPが確認したスペイン警察の報告書は、「モロッコ警察の対応は、控えめに言っても完全な容認だった」とするだけでなく、一部の警察官が不法移民を海から侵入するよう誘導するなど、殺到を助長したと指摘した。セウタに入った不法移民たちの証言によると、国境周辺のモロッコ警察の配置は「明らかに通常よりも小規模だった」という。報告書は「モロッコ警察は国境周辺から群衆を減少、解散、または移動させようとする真剣な試みを一切しなかった」とも指摘した。
首相の議会演説とモロッコ側の反論
サンチェス首相は3日の議会演説で、警察、司法機関、あるいは国際機関のいずれも「モロッコが本件を計画または実行したという確たる証拠をスペイン政府に提出していない」と述べた。不法移民殺到の数日後、モロッコ側の消息筋はAFPに対し、陸上国境検問所での警戒の「緩み」を否定した。モロッコ内務省は不法移民殺到について、SNSの「悪用」や「誤解を招く情報の拡散」が原因だと主張している。
サンチェス首相はまた、モロッコの閣僚2人によるセウタおよび北アフリカにあるもう一つのスペイン領の飛び地メリリャに関する発言を「容認できない」と激しく非難し、スペイン政府が8月21日に駐スペイン・モロッコ大使を呼び出して抗議していたことを明らかにした。モロッコメディアによると、アブデルラティフ・ワフビ法相は8月、モロッコはセウタとメリリャに対して「歴史的」および「地理的」な権利を有していると述べ、両地域が「祖国の懐に戻る」ことを可能にする「最終的解決」を呼び掛けた。サンチェス首相は3日、セウタとメリリャは「この世の終わりまで」スペイン領であり続けると強調した。
野党の反応と背景
右派および極右の野党は、不法移民殺到へのモロッコの関与を疑っており、サンチェス首相をモロッコに従属的だと非難している。中道右派の野党・国民党(PP)のアルベルト・ヌニェス・フェイホー党首は、サンチェス首相の説明を一蹴し、「ハイブリッド戦の可能性がある」不法移民殺到後の「無能」または「共犯」を理由に同首相の辞任を要求した。
一部のアナリストは、サンチェス首相が7月にモロッコの宿敵であるアルジェリアを訪問したのを受け、モロッコがスペインに政治的圧力を加えるために今回の移民殺到を利用した可能性があると指摘している。旧スペインの西サハラ問題も両国間の緊張の源となっている。西サハラは、アルジェリアの支援を受ける独立派「ポリサリオ前線」が主権を主張する一方で、大部分をモロッコが実効支配している。



