韓国の酷暑、貧富の格差を浮き彫りに 江南の高級住宅地とスラム
韓国の酷暑、貧富の格差を浮き彫りに 江南とスラム

ソウルの高級住宅地・江南(カンナム)では、エアコンを利用できるかどうかが「持つ者」と「持たざる者」を分ける境界線となっている。

江南は、K-POPスターPSY(サイ)の2012年のヒット曲「江南スタイル」で世界的に有名になった。しかし、エアコンで快適に保たれた超高級マンションの足元では、ソウル最後の大規模なスラム「九龍村(クリョンマウル)」の住民が酷暑の中で苦しんでいる。

九龍村の現状

シートや廃材で建てた小屋に約160世帯が暮らす九龍村。女性住民の鄭さん(60代)は「あまりの暑さで息苦しい」と訴える。夫と障害を持つ娘と共に暮らす一間の小屋を冷やす金銭的な余裕がないという。屋外の気温が38度に達する中、鄭さんは開け放たれたドアの近くで野菜を洗いながら「貧困者は本当に苦しんでいる」と語った。

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韓国は酷暑が続き、南東部の梁山では7月31日から3日連続で国内観測史上最高気温を更新し、8月2日には42.5度を記録した。4日にはソウル市全域に猛暑重大警報が発令された。

不平等な暑さの影響

専門家は、人間活動による気候変動で極端気象現象の強度や頻度が増加傾向にあると指摘する。酷暑は誰にでも同じように訪れるが、受ける影響は平等ではない。

江南では、九龍村の近くで最新設備のマンションが最高54億ウォン(約6億円)で販売されている。並木道には高級車のショールームや高級ブランド店、ミシュランの星付きレストランが並ぶ。江南の最新高層マンションに住むチョン・ウヌさん(20)は「エアコンをつけっぱなしにして、アイスコーヒーを飲み、薄着をしている」「今のところ快適だ」と語る。

一方、九龍村ではエアコンどころか確かな電力供給すら保証されていない。コ・ジェオクさん(87)は、捨てられたハンディファンを拾って使うが「気休め程度にしかならない」「私たちはなんとか生き延びている」と語る。

経済格差と健康リスク

半導体需要の急増で韓国経済は好調だが、貧富の格差は拡大している。公式データによると、2025年には上位20%の富裕層の純資産平均が下位20%の45倍に達した。

ノルウェー・オスロ大学のウラジーミル・チホノフ教授は、九龍村を「韓国社会の主流から取り残された都市部の貧困層の孤立を象徴している」と指摘。エアコンを利用できない状況は「彼らの健康を極めて深刻な、命にかかわりかねない危険にさらしている」と述べた。

九龍村は1988年ソウル五輪の再開発で立ち退きを命じられた住民が形成した。計画的な開発ではないため洪水や火災に弱く、今は観測史上最高の暑さに見舞われている。

クーリングシェルターと緊急速報

地元当局はコミュニティセンターをクーリングシェルターに指定し、生活困窮世帯に計6700万ウォン(約740万円)相当の冷却器具を配布した。韓国では4日までに19人が熱中症で死亡した。

韓国気象庁は4日、「命を脅かすレベルの極端な暑さが予想される」と注意を呼び掛け、不要不急の外出を控えるよう緊急速報メールを配信した。しかし、九龍村の住民ペク・スヒョンさん(65)は「外が35度なら、家の中は40度を超える」と嘆く。ペクさんの自宅は最近の火災で焼失し、仮住まいも酷暑で住める状態ではなく、江南の高層ビルの近くのシートの下で「家の中にいられないので、外の日陰で横になっているだけだ」と語った。

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