九州・山口・沖縄のパスポート(旅券)の保有率は、2025年末時点で13.7%にとどまることが分かった。元々低い水準にあったが、コロナ禍の影響で2019年末の18.1%より4ポイント以上低下した。日本全体の平均も2割弱で、韓国の4割や台湾の6割を大きく下回る。
手数料引き下げで申請が急増
政府は次世代を担う若者らの国際交流を活発化させようと、今月から旅券の発行手数料を引き下げた。福岡市・天神の福岡県パスポートセンターは7月17日、申請者で混雑。福岡市の会社員女性(34)は長男(1)の分を申請し、「手数料が安くなるのを待っていた。8月下旬に家族3人で韓国に旅行する予定です」と笑顔を見せた。
手数料は、オンライン申請で18歳以上が10年の旅券を取得する場合、従来より44%安い8900円、12~17歳が5年の旅券を取得する場合、約60%安い4400円などに引き下げられた。福岡県では1~16日の申請数が前年同期の2倍以上にあたる約1万6700件と、好調な出だしだ。
空港運営会社も取得を後押し
政府は日本を出国する際に徴収している国際観光旅客税(出国税)を7月から1人当たり3000円と従来の3倍に引き上げており、旅券の手数料引き下げで負担軽減を図った形だ。
引き下げは、空港を運営する事業者には国際線の旅客数を拡大する好機に映る。福岡空港では25年度の国際線旅客数939万人のうち8割は訪日客で、空港運営会社の有馬至人・旅客マーケティング部長は「日本人の割合が4割に高まると、欧米など長距離路線の誘致につながる」と話す。
同社は福岡空港から海外への渡航者を対象に、取得費用を最大で全額負担するキャンペーンを始めた。熊本空港や宮崎空港でも自治体や運営会社が旅券の取得費用の補助を始めている。
低い保有率の背景
日本人の旅券保有率が低い理由について、立教大の川嶋久美子准教授(国際社会学)は「国内で生活や観光が完結するため、海外に行く必要性が弱いことがある」と指摘する。さらにコロナ禍で海外渡航が制限されたことで旅券の更新が減り、大きく落ち込んだ。



