在日コリアン3世のジャーナリスト徐台教(ソテギョ)さん(47)は、「永住帰国」した韓国から日々、南北関係や韓国社会の状況などについて日本語で発信を続けている。どうしたらもっと多くの人に、日本と朝鮮半島の未来について共に考えてもらえるだろうか。そんな思いから、自身のメディアを刷新し、さらなる挑戦を始めようとしている。
韓国に「永住帰国」した経緯
群馬県で生まれ育った徐さんは地元の高校を卒業後、1999年に韓国に渡った。2000年に高麗大学に入学。在学中から北朝鮮の人権問題などに関わり、卒業後は人権NGOの代表を務めた。09年からは日本メディアの記者として、日本を拠点に朝鮮半島問題と関わったが、12年に再び韓国へ。15年に日本での特別永住の資格を放棄し、韓国に「永住帰国」する道を選んだ。「南北関係がどこに向かうのか、最後まで最前線で見届けたい」との思いからだった。
メディア「コリア・フォーカス」の刷新
その後、自らのメディア「コリア・フォーカス」を立ち上げ、ニュースレターを配信。韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領が24年12月に非常戒厳を出した際には、戒厳軍が向かった国会の周辺に駆けつけてリポートを続けた。25年9月には、朝鮮半島の分断と南北関係、韓国の民主化の歴史などを韓国の視点から整理した著書「分断八〇年 韓国民主主義と南北統一の限界」(集英社クリエイティブ)を出した。「分断を理解しないと韓国は理解できないとずっと思っていた」と徐さんは振り返る。
朝鮮半島をめぐっては、断片的で、ときには感情的で極端な情報がSNSなどで飛び交う。そんな中で、朝鮮半島情勢や日本との関係を体系的に理解できる情報を提供していく場をつくるため、「コリア・フォーカス」を大幅にリニューアルすることを決め、日本で一般社団法人も立ち上げた。これまでの1人で取材し、記事を発信するスタイルから、専門家らによる寄稿、主要なキーワードの解説などを通じ、朝鮮半島や日本の平和、民主主義にかかわる問題を体系的に知ってもらうことを目指すという。
「公論の場」を目指して
「共通の理解や知識を広げたうえで、様々な問題の解決に向けて意見をぶつけ合えるような、日本と朝鮮半島をつなぐ新たな『公論の場』にしていきたい」と徐さんは語る。
スタッフの雇用を含む態勢強化のため、7月末までクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/944456/view)で資金を募っている。



