軍政下ミャンマーで和食店を守る78歳日本人店主「利益より家族を守る」経営
軍政下ミャンマーで和食店守る78歳日本人店主の経営

ミャンマー・ヤンゴンで和食店「角 ホーン」を営む大舘堯さん(78歳)は、2021年2月の軍事クーデター以降も店を閉めずに営業を続けている。通貨チャットの価値がピーク時の約3分の1に下落し、食材費がクーデター前の約3倍に高騰する中、大舘さんは従業員20人を1人も解雇せず、料理の価格も大幅に引き上げずに経営を継続している。

ミャンマーとの縁が生んだ移住

大舘さんは日本で飲食店を経営していたが、ミャンマーに通ううちに同国の穏やかな気候や人柄、仏教文化に惹かれ、「ミャンマーで暮らそう」と決意。日本に兄弟はいたがそれぞれ家族を持っており、ミャンマーには家族のように慕う元従業員がいたことから、2017年に日本の店を売却してミャンマーへ移住した。

「もう日本に残る理由が、あまりなくなっていました」と大舘さんは振り返る。ミャンマーでの生活は穏やかだったが、2021年の軍事クーデターで一変。日本人客がほとんど姿を消し、輸入食材の入手が困難になり、地元食材の価格が高騰した。

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クーデター後の経営環境

クーデター以降、ミャンマーの通貨チャットは大幅に下落し、その価値はピーク時の約3分の1にまで落ち込んだ。高いインフレが続き、商品やサービスの価格は5年前と比べて約3倍に上昇。野菜などの食材費もクーデター前の約3倍に達し、飲食店の経営環境は一段と厳しさを増している。

多くの企業が事業縮小や人員削減を余儀なくされる中、「角 ホーン」は長年通い続ける常連客を大切にしたいという思いから、料理の価格を大幅に引き上げることなく営業を続けてきた。従業員を1人も解雇せず、現在も約20名のスタッフを雇用し続けている。

「利益より家族を守る」経営哲学

大舘さんと、店を支えるティダさんは、店を閉めない理由について明確に一致している。「利益のためではありません。従業員の生活を守るためです」と大舘さんは語る。大舘さんにとって、従業員は単なる労働力ではなく、ミャンマーで新たに得た家族のような存在だ。

「結局は人との縁ですよ」と大舘さんは言う。厳しい経営環境の中でも、人とのつながりを何よりも大切にし、利益よりも従業員とその家族の生活を守ることを優先する姿勢が、軍政下のミャンマーで和食店を支え続けている。

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