ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は9日、連邦議会(下院)での激しい討論で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が要求する大規模な「リマイグレーション(逆移民、移民や外国にルーツを持つ人々の強制または任意での帰国を求めること)」を、肌の色や生まれに基づく「民族浄化」の一種だと痛烈に批判した。
州議会選での惨敗直後の対決
メルツ首相率いる中道右派(保守)政党「キリスト教民主同盟(CDU)」は6日、東部ザクセン・アンハルト州議会選でAfDに惨敗したばかり。同首相は9日、連邦議会でAfDのアリス・ワイデル共同代表と激しい非難の応酬を繰り広げた。
メルツ首相は、難民認定申請が不認定となった外国人と、不法入国した不法移民の大規模強制送還というAfDの看板政策を標的とした。同首相が「『リマイグレーション』という言葉は、民族浄化の言い換えに他ならない」「リマイグレーションとは、肌の色や生まれに基づく民族浄化に他ならない」と述べると、連邦議会のAfD議員らから抗議の嵐が巻き起こった。
AfD圧勝と連立交渉の行方
ザクセン・アンハルト州議会選(定数83議席)では、AfDが得票率約44%で圧勝。CDUは得票率約17%で惨敗した。AfDは単独過半数(絶対過半数)に3議席届かず、州政権の樹立に向けて連立交渉を行っているという。
AfDの台頭は、ドイツにはナチス・ドイツの負の歴史を償う特別な責任があると感じている人々を不安にさせている。
「政治路線の変更」を巡る応酬
先に登壇したワイデル共同代表は、メルツ首相率いる連立政権の時代は「終わった」と宣言。「ドイツ国民はついに政治路線の変更を望んでおり、『従来通りのやり方』は望んでいない」と述べた。
ワイデル共同代表はまた、政府の移民政策がドイツの治安を悪化させたと非難。「ドイツ国民は、大量移民がもたらした結果との共生を強いられている」「毎日のように起きる刃物による襲撃事件、列車や駅での襲撃事件、荒廃し不穏になった街並みとの共生をだ」と述べた。
これに対しメルツ首相は、AfDの移民政策は労働市場に多大な影響を与えると反論。「介護施設も、病院も、レストランも、一つも機能しなくなるだろう」と述べた。
メルツ首相はさらに、8月に東部ライプチヒ近郊の空港で爆発物を搭載した無人機が見つかった攻撃未遂事件(ドイツ政府はロシアが関与していたとしている)に触れ、親ロシアのAfDがドイツを「不安定化」させようとするロシアの試みに加担していると非難した。「ワイデル氏、8月4日にライプチヒ空港で起きた事件について、あなたは一切発言していない」「あなたはここドイツにある問題の一部だ」と述べた。



