元民主党支持者「民主党の方が私を離れた」 工場の町が感じた嘲笑
元民主党支持者「民主党の方が私を離れた」工場の町の変化

イリノイ州マディソン郡のグラニットシティーにある製鉄所を訪ねると、元民主党支持者の電気工ダリルさん(78)が「民主党の方が私を離れたのだ」と語った。「大きく変わったさ」と、この街の変化を自身の投票行動の変化で示した。

労働者の街が赤く染まるまで

マディソン郡は製鉄業や製造業で栄えた「ラストベルト」の一角で、かつては労働組合の影響が強く、大統領選で民主党候補が強かった。しかし2012年に共和党のロムニー氏が勝つと、2016年以降はトランプ氏が3回連続で勝利した。

電気工として40年間働き、組合加入50年の記念ピンバッジを受け取ったばかりだというダリルさん。1990年代のクリントン大統領には投票したが、2008年のオバマ氏には入れなかった。オバマ氏が黒人への不当な扱いや機会格差を指摘するのを聞き、「機会は既にある」と考えていた自分の職場での経験と違うと感じたのが主な理由だ。

民主党への失望と左傾化への批判

かつての民主党は「労働者寄り」で「地道に働く人間が家族を養えるようにするための党」だったが、今はそうではないとダリルさんは失望感を口にする。その後は共和党のマケイン、ロムニー、トランプ各候補に投票した。

今の民主党については「左へ行きすぎた」と指摘。バイデン政権の国境管理を「大勢の違法な入国を黙認した」と批判し、一部の民主党左派による「警察予算の削減」との主張を「とんでもない」と一蹴した。地方では警察官への信頼が厚いという背景がある。

トランプ氏の手法を嫌う元会社員の声

同じダイナーにいた元会社員のハーマンさん(75)は、トランプ氏の分断をあおる手法を嫌い、一度も投票していない。それでも民主党への失望は隠せないという。

ダリルさんの投票先の変化は、郡全体が民主党の青から共和党の赤へ移った時期とほぼ重なる。工場の町が感じ取ったエリートの嘲笑が、政治の流れを変えた一因と言える。