EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場の実態
EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場 (14.07.2026)

東南アジア市場で電気自動車(EV)の普及が急速に進んでいる。特にタイでは、2023年のEV販売台数に占める中国ブランドの割合が約80%に達し、日本車メーカーは苦戦を強いられている。この背景には、中国政府の積極的なEV輸出戦略と、東南アジア諸国が掲げるカーボンニュートラル目標がある。

中国勢が席巻するタイ市場

タイは東南アジア最大の自動車生産国であり、長らく日本車が市場を支配してきた。しかし、EV分野では状況が一変。2023年のタイ新車販売におけるEV比率は約12%に上昇し、その大半を中国のBYDや長城汽車、吉利汽車などが占める。特にBYDは、タイ市場で最も売れているEVブランドとなり、2024年にはタイ国内での生産開始を予定している。

日本メーカーもEV投入を急ぐが、トヨタのbZ4Xや日産のアリアなど、価格帯が中国勢より高く、販売台数は伸び悩む。タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げ、購入補助金や輸入関税の引き下げなどで中国メーカーを優遇している。

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インドネシアでも中国勢が攻勢

インドネシアは東南アジア最大の人口を抱え、EV市場の成長が期待される。同国政府はニッケル資源を活用したEVバッテリー産業の育成に注力し、中国企業との連携を強化。BYDや五菱汽車(SAIC-GM-Wuling)が現地生産を開始し、2023年にはEV販売台数が前年比3倍以上に増加した。

一方、日本メーカーはインドネシアでハイブリッド車(HV)に注力してきたが、EVシフトの波に乗り遅れている。トヨタは2022年にEV生産を開始したものの、販売台数は中国勢に大きく水をあけられている。

日本車メーカーの戦略転換

東南アジアでの日本車メーカーのシェア低下は深刻だ。2023年のタイ市場における日本車のシェアは約78%と、2019年の90%から12ポイント低下。特に小型乗用車分野で中国勢に押されている。

日本メーカーはHVで優位性を保つが、EVへの需要シフトが加速する中、戦略の見直しを迫られている。トヨタはタイでEV生産を拡大し、2025年までにEVラインアップを倍増する計画。ホンダも2024年にタイでEV生産を開始する。しかし、価格競争やサプライチェーン構築で中国勢に後れを取っており、巻き返しは容易ではない。

東南アジア全体のEV市場拡大

東南アジアのEV市場は2023年に約10万台と、前年比2倍以上に成長。国際エネルギー機関(IEA)の予測では、2030年までに同地域のEV販売台数は年間100万台を超える見通し。各国政府の補助金やインフラ整備が後押しする。

中国勢は低価格モデルを武器にシェアを拡大。BYDの「ドルフィン」はタイで約80万バーツ(約320万円)と、日本車のEVより2割以上安い。また、中国メーカーは東南アジアでの生産拠点を相次ぎ建設し、部品調達も現地化を進める。

日本メーカーはHVとEVの両軸で戦略を構築するが、EV市場で中国勢に先行された影響は大きく、今後のシェア回復には抜本的な対策が必要だ。東南アジアの自動車市場は、日本車から中国車へのパラダイムシフトが起きている。

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