シカゴ名物ディープディッシュピザ、厚い生地と濃厚チーズが魅力 老舗ジーノズ・イーストを訪ねて
シカゴ名物ディープディッシュピザ 老舗ジーノズ・イーストを訪ねて

シカゴを訪れる観光客なら、一度は試したい名物料理がある。深い型でじっくり焼き上げる「ディープディッシュピザ」だ。薄い生地のピザに慣れた人にとって、その厚みとボリュームは驚きに満ちている。

老舗「ジーノズ・イースト」で味わう本格派

市中心部にある1966年創業の老舗「ジーノズ・イースト」は、昼時を過ぎても家族連れや旅行客でにぎわっていた。キッチンマネジャーのロニー・ガルシアさん(58)は「生地を作り、ソースを仕込み、具材をのせて焼く。本格的で家庭的な手作りの味です」と語る。

ディープディッシュピザは、通常のピザとは製法が異なる。生地の上にまずモッツァレラチーズをたっぷり敷き、ソーセージなどの具材を重ね、最後に甘みのあるトマトソースをのせる。ソースで覆うことでチーズが焦げにくくなる。見た目は具の詰まったパイに近い。薄いピザなら20~30分で焼けるが、ディープディッシュは厚い生地と具材に火を通すため、40~45分かかる。客は焼き上がりを待ちながらテーブルを囲み、会話を楽しむ。

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一口で広がる濃厚な味わい

焼き上がった14インチ(約36センチ)のピザを皿に取ると、モッツァレラチーズが大きく伸びて驚かされる。口に入れると、濃厚なチーズのうまみと甘みのあるトマトソースが広がり、外側の生地は香ばしい。一切れで十分な食べ応えがある。

ジーノズ・イーストは、タクシー運転手だった2人が友人と開いた店だ。当時は建設工事が続き交通渋滞も激しかったが、焼き上がりを待って味わう厚みのあるピザは、そんな街の空気に合っていた。店内の壁や柱には、創業当時から客が書き残したメッセージがびっしりと残る。子どもの頃に名前を書いた客が大人になり、自分の筆跡を探しに戻ってくることもあるという。シカゴ名物の一枚とともに、客の記憶も積み重なっている。

ジャルディニエラで味に変化

シカゴで親しまれる「ジャルディニエラ」は、刻んだ野菜を油や酢、唐辛子で漬けたイタリア系の辛い具材だ。ジーノズ・イーストでもピザやサンドイッチに使われ、チーズや肉にマリネ野菜の酸味と辛みが加わり、味わいに変化をつける。

アメリカンピザの進化と多様性

米国のピザ文化は、19世紀末から20世紀初めにかけてイタリアから渡った移民が持ち込んだ。移民街の食べ物だったピザは、やがて専門店が生まれ、飲食店で提供されるようになった。広く受け入れられたのは第2次世界大戦後だ。イタリアなど欧州から帰還した兵士たちが現地の味を懐かしんだほか、大手チェーンの展開で各地に店が広がり、冷凍ピザや宅配、持ち帰りサービスの普及も後押しした。ピザは手軽に分け合える食べ物として一般家庭に浸透し、スポーツ観戦やパーティーとの相性も良いことから「国民食」の一つとなった。

各地の暮らしや文化に合わせ、独自の進化も遂げている。ニューヨークでは薄く大きな一切れを手で折って食べるスタイルが定着。コネティカット州ニューヘブンでは、石炭窯で焼く薄く香ばしい「アピザ」が知られる。ミシガン州デトロイトでは、四角い鉄板で焼く厚めのピザが名物だ。カリフォルニアでは、薄い生地に地元食材や季節の野菜を自由に組み合わせるピザも広がった。

シカゴのディープディッシュピザは、その厚みと手間暇かけた製法で、アメリカのピザ文化の中でも特別な存在感を放っている。

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