豪州メディア保護新法、IT大手に報道機関への対価支払いを義務化へ
豪州新法、IT大手に報道対価支払い義務化へ

オーストラリア政府は、報道機関のニュース記事への対価をIT大手に実質的に支払うよう義務づける新法の導入を目指している。報道機関への厳しい批判にさらされることもある政府が、報道機関を保護する法律を推進する背景には何があるのか。今回の新法に連なる旧法の草案を手がけた「オーストラリア競争・消費者委員会」元会長のロッド・シムズ氏に聞いた。

ニュースがなければ検索は成立しない

今回の新法は、シムズ氏が草案作成を主導し、2021年に成立した旧法「ニュース交渉規範」を発展させたものだ。当時もIT大手に報道機関への支払いを求める内容だった。なぜこうした法律が必要だったのかについて、シムズ氏は「米グーグルを見てみましょう。ニュースがなければ『今ウクライナで何が起きているのか』の検索は成り立ちません。現場で取材し、報じているのは報道機関です」と説明する。

グーグルや米メタのようなIT大手は、自社のプラットフォームに報道機関の記事を表示し、利益を得ているのに、対価を払っていない。当時の政府が実態調査をオーストラリア競争・消費者委員会に命じた。18カ月に及ぶ調査で、ニュースとプラットフォームをめぐる状況が経済学上の「市場の失敗」にあたることを確認し、ニュース記事使用の対価について、グーグルとメタに報道機関と交渉するよう義務づける法律の導入を提言し、法律は成立した。

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世界でも類を見ない法律が成立した理由

世界でも類を見ない法律だが、なぜ導入できたのか。シムズ氏は「政治家が突然、『IT企業に金を払わせよう』と言っても実現しなかったでしょう。調査を尽くして出した結論を『独立した第三者』が提言したから、受け入れられたのです」と語る。

この法律をめぐっては、約300紙が廃刊し「ニュース砂漠」が広がる豪州の状況や、AIの情報無断収集が「悪質な窃盗行為」と批判される中、メタがニュース表示を巡り対応に追われるなど、依然として課題が残る。

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