豪州、IT大手にニュース対価支払い義務化へ 新法制定
豪州、IT大手にニュース対価支払い義務化へ

オーストラリア政府は、検索エンジンやSNSを運営するIT大手に対し、ニュースを使用した対価を報道機関に支払うよう実質的に義務づける法律を制定する。IT大手が自社のプラットフォームに無償で記事を表示させる「ただ乗り」が横行し、報道機関の経営が圧迫されていると判断した。

IT大手が記事使用に関する商業契約を報道機関と結ばない場合は課徴金を課す方針だ。政府は11日に始まった8月会期中に法案を提出し、成立させたい構えだ。

対象となる企業と条件

政府の法案によると、国内での売上高が2億5千万豪ドル(約285億円)以上あることや、月の利用者がSNSで500万人以上、検索エンジンで1千万人以上などの条件を満たす企業が対象となる。現時点では米グーグル、メタ、ティックトック、米マイクロソフト傘下のリンクトインとなる見通しだ。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

新法は、IT大手に報道機関とニュース使用に関する商業契約を結ぶよう求める。IT大手が契約も交渉もしない場合、国内でのデジタル広告の売上高の約2.5%に相当する課徴金が課され、政府が報道機関に分配する仕組みだ。

分配額の算定方法

分配額は原則、記者やフォトグラファーなど編集業務に携わる従業員数に基づき算出するが、地方や先住民など少数者にニュースを届けている報道機関には分配額を加算する方針だ。報道機関の多様性を維持する狙いがある。

政府の試算では、報道機関と契約を締結した場合、IT大手の支払総額は約2億5千万豪ドルに上る見込みだ。一方、課徴金を課される場合は約3億5千万豪ドル(約399億円)になるという。

背景と反発

政府は2021年に、IT大手に報道機関との商業契約の交渉を義務づける法律を施行していた。グーグルとメタが報道機関と契約を結び、年間約2億5千万豪ドルを支払ったが、メタは24年にニュース表示を停止し、法律の適用を回避。制度の「抜け穴」があらわとなり、IT大手がニュースを表示しているかどうかにかかわらず、企業の規模で適用の対象を決める今回の新法につながった。

地元メディアによると、今回の法案内容をめぐっては各党間で一部意見の相違があり、論戦も予想される。一方、IT大手は激しく反発している。グーグルなどが加盟する米国の業界団体・全米外国貿易協議会は「ジャーナリズムの商業的課題を少数の外国企業に負担させるのは誤った発想だ」と批判。メタは「外国企業を狙い撃ちした差別的な税金」として、米豪自由貿易協定に違反していると主張していた。

AI時代の著作権保護

オーストラリア政府は、メディアや芸術家らの著作権を守る姿勢を世界に先駆けて示している。7月には、人工知能(AI)が権利者の同意を得ずに、書籍やニュース記事などを大量に読み込ませて学習させているとして、ニュース記事や芸術作品などの著作権保護を柱とする新たな「国家基準」を策定すると発表した。権利者の許可なく著作物をAIの学習に利用することなどを規制する方針で、来年早期に関連法案を議会へ提出し、成立を目指す。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ