円安と株高が同居する日本で進むインフレの優勝劣敗 唐鎌大輔氏が分析
円安と株高が同居する日本で進むインフレの優勝劣敗

みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミストである唐鎌大輔氏は、2026年7月3日付の記事で、日本経済が直面する「インフレの優勝劣敗」について分析を発表した。同氏は、1ドル160円を超える円安と日経平均株価7万円の株高が同時に進行する現象に注目し、この一見矛盾する状況が日本経済の構造的な問題を浮き彫りにしていると指摘する。

株高は国力の裏返しか?

唐鎌氏は、日経平均の堅調さに疑義を抱く声が多いことに言及。「日本経済が存在感を低下させるに伴って通貨安や金利上昇が慢性化している」という不安が広がる中、株価の続伸に矛盾や違和感を覚えるのは自然だとしながらも、株価は必ずしも国力や景気循環と安定した関係にあるわけではないと強調する。

同氏は、株価指数の大幅上昇は経済大国や成熟した先進国で起きているわけではなく、むしろ経済・金融情勢が不安定な国で見られる現象だと指摘。この見解は、国際的な市場データに基づくものである。

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データが示す国際比較

記事では、2022年から現在までの期間について、ブルームバーグのデータを基にした国際比較表が提示されている。この表は、日本の円安局面が始まった2022年以降の自国通貨の対ドル変化率、株価指数の変化率、そしてインフレ率を各国で比較したものだ。唐鎌氏によれば、日本の株価上昇率は対象国中18位であり、上位の国々はむしろ経済的に不安定な状況にあるという。

具体的な数値として、日本の円安は1ドル160円を超える水準に達し、日経平均は7万円台を記録している。一方、インフレ率は先進国の中では比較的低水準に留まっているが、これが「30年分の再評価」として捉えられる可能性も指摘されている。

インフレの優勝劣敗

唐鎌氏は、インフレがもたらす「優勝劣敗」の構図を強調する。株高の恩恵を受ける層と、円安による輸入物価上昇で打撃を受ける層の二極化が進んでいると分析。特に、資産を持つ富裕層は株高で利益を得る一方、所得の低い層は生活費の上昇に苦しむという。

同氏は「インフレの優勝劣敗が、格差是正のための投資促進策によってむしろ格差を広げている」と警鐘を鳴らす。この現象は、日本経済の構造的な課題を浮き彫りにしており、今後の政策運営において重要な示唆を与えている。

今後の展望

唐鎌氏の分析は、単なる市場動向の解説に留まらず、日本経済の長期的な課題を浮き彫りにしている。円安と株高の同時進行が続く中、インフレの影響がどのように国民経済に波及するかが注目される。同氏は、今後の日本経済の行方について、投資家や政策当局者に対して慎重な対応を促している。

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