SMBC日興証券がJ-Ships第1号案件を成立、未上場スタートアップの資金調達に新たな可能性
SMBC日興証券J-Ships第1号成立、資金調達に新たな可能性

SMBC日興証券は2026年4月、特定投資家向け銘柄制度(J-Ships)の同社第1号案件を、水循環システムを手がけるスタートアップのWOTAを対象に成立させたと発表した。この新たな取り組みが、未上場スタートアップの資金調達にどのような可能性をもたらすのか。J-Shipsを担当するプライベート・コーポレート・ファイナンス本部副本部長の古株貴氏に話を聞いた。

J-Ships第1号案件への反響とスタートアップ環境の変化

──4月の公表時の反響はどうだったか。

古株氏は「未上場スタートアップ企業は常に資金調達のニーズが存在しており、弊社のプレスリリースを見て『少しお話を聞いてみたい』という声を複数得ている」と語る。生成AIの登場に加え、資金調達の難しさやイグジット環境の変化など、スタートアップを取り巻く環境は大きく変化している。

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IPO厳格化の中でのJ-Ships活用の意義

──東証の上場基準厳格化などIPOのハードルが上昇する中、J-Shipsをどう活用すべきか。

古株氏は「上場のハードルが上がったからといって、それだけを理由にJ-Shipsの活用余地が出てくるとは捉えていない」と明確に述べる。同制度を活用して投資する特定投資家は、最終的に投資資金が回収される、つまりエグジット(出口戦略)があることを前提としている。昨今はIPOに限らずM&Aでのエグジットも増えており、そうした形でキャピタルゲインを得る機会も見据えている。ただし、上場自体のハードルが高い状態であれば、特定投資家から見ても投資しづらくなる側面があると指摘する。

──証券会社が銘柄を「審査」する意義について。

古株氏は「SMBC日興証券では、J-Shipsの案件を厳格な審査プロセスを経て選定している。豊富な金融知識を持つ特定投資家候補は全国に存在し、そうした投資家と優良な未上場スタートアップを結びつける役割を果たしたい」と説明する。

地域との接点に期待

──出資する株主を通じた地域との接点について。

古株氏は「地域の特定投資家が地元スタートアップに出資することで、単なる資金提供にとどまらず、人的ネットワークやビジネスチャンスの創出など、地域経済への波及効果が期待できる」と強調。J-Shipsは、投資家とスタートアップのマッチングを通じて、地域活性化にも貢献する可能性を秘めている。

本記事は『週刊東洋経済』の恒例特集「すごいベンチャー」の連載の一環として掲載された。

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