EVシフト加速で需要急増、レアアースの供給リスクと日本の戦略
EVシフト加速でレアアース需要急増、日本の戦略は

電気自動車(EV)の普及が世界的に加速する中、モーターやバッテリーに不可欠なレアアース(希土類)の需要が急増している。しかし、その供給は中国に大きく依存しており、地政学的リスクや資源ナショナリズムの高まりが懸念されている。日本はこうした状況に対し、資源循環の推進や海外鉱山への投資、代替材料の開発など、多角的な戦略で安定調達を目指している。

EV1台に約2kgのレアアース、需要は今後10年で3倍に

EVの駆動モーターには、ネオジムやジスプロシウムなどの強力な磁石用レアアースが使用される。国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、EV1台あたりのレアアース使用量は約2kgで、従来のガソリン車の約10倍に相当する。世界のEV販売台数が2030年には現在の約10倍の3000万台に達すると予測される中、レアアース需要は今後10年で約3倍に拡大すると見込まれている。

中国依存のリスク、生産集中がもたらす脆弱性

レアアースの生産は中国が世界の約60%を占め、精製能力に至っては約90%を独占している。2023年には中国がレアアースの輸出規制を強化し、供給懸念が一気に高まった。また、ミャンマーやベトナムなど他の産出国でも政情不安や環境規制の強化により生産が不安定化している。こうした状況は、日本のEV産業にとって大きなリスクとなっている。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

日本の戦略:資源循環、鉱山開発、代替材料

日本政府は2023年に「重要鉱物安定供給確保戦略」を策定し、レアアースを含む重要鉱物の安定調達を国家プロジェクトとして位置づけた。具体的には、使用済みEVや家電からのレアアース回収(都市鉱山)の促進、オーストラリアやカナダなど友好国での鉱山開発支援、そしてレアアース使用量を削減する次世代磁石の研究開発に重点を置いている。

経済産業省の担当者は「レアアースの安定供給は経済安全保障の根幹に関わる。資源循環と供給源の多角化を両輪で進める」と強調する。実際、日本企業によるレアアース磁石のリサイクル技術は世界トップレベルにあり、2030年までに使用量の20%以上をリサイクルで賄う目標が掲げられている。

自動車メーカーの動き:トヨタは代替材料、日産はリサイクル

自動車メーカーも独自の対策を進めている。トヨタ自動車は、レアアースを使用しないフェライト磁石モーターの実用化を進め、既に一部のハイブリッド車に搭載している。日産自動車は、使用済みEVからレアアースを高純度で回収する技術を開発し、2025年までに実証プラントを稼働させる計画だ。

課題:コストと技術の壁、国際協調の重要性

しかし、こうした取り組みには課題も多い。リサイクル技術はコストが高く、経済性の確保が難しい。また、代替材料の性能は現状ではレアアース磁石に及ばず、EVの航続距離や出力に影響を与える可能性がある。専門家は「短期的には中国依存からの脱却は難しく、国際的な備蓄協定や資源外交の強化が必要」と指摘する。

レアアースの安定調達は、日本のEV産業の競争力を左右する重要課題である。資源循環と技術革新、そして国際協調を組み合わせた総合戦略が求められている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ