山岳区間を直通する通勤車両の実力
南海電気鉄道の「2000系」は、一見すると他の通勤車両と変わらない外観ながら、大阪・難波から高野線の山岳区間を直通できる特殊な性能を持つ。1990年に登場したこの車両は、平坦な市街地と急勾配の山岳路線の両方を走破するため、コンパクトな車体に高出力のVVVF制御を搭載している。
車内は通勤需要と観光需要を両立させる工夫が随所に見られる。車端部には向かい合わせのボックスシートを設け、山岳区間の車窓を楽しめる一方、ドア間は窓を背にしたロングシートで通勤車両らしい座席配置となっている。
同期のベテラン社員が語る思い出
運転車両部検車区千代田検車の田中良介担当区長は「1990年の入社で2000系とは“同期”のため個人的には思い入れがあります。当時は抵抗制御ばかりの中でのVVVF制御で、勉強して理屈がわかっていても実際には難しく、奥が深い車両やなと感じました」と振り返る。
2000系はコンパクトな車体に平坦区間・山岳区間の両方を走る性能を詰め込んでいる。田中担当区長は「床下には機器がいっぱい付いていますのでメンテナンスは時間を要します」と語る。後から装備を付け加える際にはスペースの確保に苦心してきたという。ロングシートの下に収納した非常用のはしごはその一例だ。
支線用から観光列車までこなす万能ぶり
2000系は通勤車両として設計されながら、支線運用や観光列車としても活躍している。車端部のボックスシートは観光客にも好評で、高野山への参詣客を乗せて山岳区間を駆け上がる姿は、同車の本領発揮と言える。初期車から増備車にかけて細かな改良が加えられ、現在も第一線で活躍を続けている。
田中担当区長は前照灯のLED化にも携わった。技術の進歩とともに変化する2000系は、ベテラン社員とともに南海電鉄の顔として走り続ける。



