ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受けて、日本のナフサや原油の代替調達において、米国への依存度が急速に高まっている。2026年5月の貿易統計(確報)によれば、米国からのナフサ輸入量は約51万4000キロリットルに達し、全輸入量に占める割合は30%を超えた。これは2025年の月平均約7万6000キロリットル(約4%)から大幅な増加であり、代替調達の中心が米国であることを如実に示している。
湾岸諸国からの調達は9%に低下
一方、イラン戦争前には7割超を占めていたイラン、イラク、バーレーン、サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)の湾岸8カ国からのナフサ輸入は、5月には全体の9%まで低下した。ホルムズ海峡の封鎖が供給網に深刻な影響を及ぼしている。
原油についても同様の傾向が見られる。5月の米国からの原油輸入量は前月比26%増の約57万6000キロリットルとなり、政府は6月にはさらに増加すると見込んでいる。4月にはサウジアラビアとUAEからの原油輸入減少が全体の大幅な減少につながったが、5月にはUAEからの輸入が拡大した。これはホルムズ海峡を迂回するルートへの転換によるものである。政府によれば、不足分は備蓄放出で賄われた。
代替ルートの限界と多様化の課題
米国や湾岸諸国の代替ルート以外からの調達は限定的で、ロシア、マレーシア、ブルネイからの輸入はいずれも数万キロリットルにとどまる。この状況は、日本のエネルギー調達が依然として特定の地域に依存していることを浮き彫りにしている。
ホルムズ海峡の通行量は、米国とイランの暫定合意により増加しつつあるが、今回の封鎖は中東依存のリスクを改めて認識させるものとなった。多様な供給ルートの確保が喫緊の課題である。高市早苗首相は26日午後、エネルギー安定確保に向けた計画策定を閣僚に指示する予定であるとNHKが報じている。
専門家の見解:脱ホルムズは進む
エネルギー業界に詳しい伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリーの伊藤敏憲アナリストは、米イラン戦争前の水準には戻らないものの、経済性の観点から中東産原油への依存度は再び高まると指摘する。中東産原油は軽質から重質まで幅広い成分が入手可能であり、製油所の設備も中東産に適しているためだ。しかし、伊藤氏は「脱ホルムズは進む」と見る。サウジアラビアやUAEでは、ホルムズ海峡を通らない港につながるパイプラインの活用拡大が見込まれるからである。
コスモエネルギーホールディングスの山田茂社長は18日の記者会見で、油種ごとに異なる制約を踏まえ、「どういう設備投資が必要かを整理して決めていく」と述べた。現在は中東産と米国産を混合して性質を調整しているという。伊藤氏は、異なる原油を取り扱うことについて「精製してみないとわからない難しさがある」と述べ、技術的な問題はないものの、新たな処理のための現場の負担は大きいと指摘した。
今後の展望
日本のエネルギー安全保障の観点から、供給源の多様化は不可避である。中東依存のリスクが顕在化した今、米国や他の地域からの調達拡大、さらには国内の設備投資や備蓄戦略の見直しが求められる。脱ホルムズの動きが加速する中、日本は長期的なエネルギー政策の転換点に立っている。



