個人投資家にも、未上場のスタートアップへの投資機会が広がりつつある。その鍵を握るのが、日本証券業協会が運用する特定投資家向け銘柄制度(J-Ships)だ。J-Shipsは「JSDA Shares and Investment trusts for Professionals」の略称で、2022年7月1日に自主規制規則として施行された。
J-Shipsの仕組みと現状
J-Shipsは、非上場企業の株式などを「特定投資家」に限定して発行・流通させる制度だ。従来、未上場株の投資は売り手と買い手の直接交渉による相対取引が基本で、スタートアップへの出資者はベンチャーキャピタル(VC)や事業会社に限られていた。株式投資型クラウドファンディングもあるが、調達額の上限は年間5億円未満で、出資者の投資上限も設定されている。
現在、証券会社やクラウドファンディング提供企業など10社がJ-Shipsを取り扱い、さらに2つの銀行が金融商品仲介のみ行っている。取引実績は、株式で2024年が18件166億円、2025年が21件94億円と、件数は増えたが金額は減少した。
個人でも「特定投資家」に
J-Shipsの特徴は、個人投資家でも「特定投資家」として参加できる点だ。ただし、参加には一定の資産要件や知識が求められる。また、制度上はIPO並みのガバナンス整備が必要とされ、企業側の負担も少なくない。
スタートアップを取り巻く環境は、生成AIの登場や資金調達の困難さ、イグジット環境の変化などで大きく変わっている。J-Shipsは新たな資金調達の枠組みとして注目されるが、普及にはさらなる課題も見える。



