AIをすべての人の道具にする――そんなビジョンを掲げるスタートアップGensparkが急成長を遂げている。ChatGPTやClaudeが自社のAIモデルしか使えないのに対し、Gensparkは70種類以上のAIモデルを用途ごとに使い分け、仕事で使える成果物を作成する点が最大の特徴だ。同社は先月、本社に日韓のメディアを招いて説明会を実施。本稿はその取材に基づく。
中立な立場で両社の部品をいいとこどり
オープンAIが「ChatGPT」という道具を、アンソロピックが「Claude」という道具を提供しているため、部品(AIモデル)メーカーと道具メーカーの区別が分かりにくいが、Gensparkは中立な立場で両社の部品を最適に組み合わせている。アンソロピック系の部品(FableやOpus)はプログラミング能力の高さで定評があり、オープンAI系の部品は絵を描くなど多彩な表現で定評がある。しかし、ChatGPTではアンソロピックの部品は使えず、ClaudeでもオープンAIのモデルは使えない。一方、Gensparkは両社とパートナー関係にあり、70以上のAIモデルを適材適所で使い分けられる。これが強みとなり、投資家だけでなく、部分的に競合するオープンAIやアンソロピック、マイクロソフトなどの大企業も一目置く存在になっている。
ビッグネームとの協力体制
Gensparkの成功を支えるもう一つの要因は、IT業界のビッグネームとの強固な協力体制だ。マイクロソフトの法人システムと密に連携できるほか、オープンAI、アンソロピック、そしてインフラ提供ではグーグルクラウドやAWSとの連携も実現している。スタンフォード大学にほど近いパロアルトの学生街にある本社はまだ小さいが、既に驚くべき成果を上げている。
初心者でも使いやすいエージェント型AI
Gensparkの基本画面を見ると、プロンプトを打ち込んで実行させる点はChatGPTなどと似ている。違いはその先だ。プロンプトを受け取ったGensparkは、まずタスクの実行計画を作り、必要な作業を割り出す。単純作業には低価格なAIモデルを、複雑な要求にはClaudeやChatGPTの高価なモデルを割り当て、品質とコストのバランスを取る。このように先に計画を立て、任務を最後まで遂行するタイプのAIはエージェント型AI(エージェンティックAI)と呼ばれる。最近ではChatGPTやClaudeにも部分的に搭載されているが、Gensparkではこれが標準であり、70以上のモデルに仕事を下請けに出せる。
道具として誰でも簡単に使えることも重要だ。今日、AIを導入している企業でも多くの社員はAIの活用方法を把握しておらず、有効活用できていない。Gensparkはそんなユーザーのために、プロンプト入力欄のすぐ下に「AIスライド」「AIシート」「AIドキュメント」「AI画像」「AI動画」といった具体例をアイコンとして表示。これらを選ぶだけで、日常のビジネス作業でAI活用が進む設計になっている。記事執筆時点ではバージョン4.0だが、7月21日にバージョン6.0が発表される予定だ。



