ChatGPTやClaudeが自社のAIモデルに限定されるのに対し、Gensparkは70種類以上のAIモデルを用途ごとに使い分け、仕事で使える成果物を作成する点が最大の特徴だ。このアプローチが、企業向けソフト史上最速の成長を牽引している。
最速の成長を遂げるGenspark
2025年4月に投入した業務自動化AIエージェント「スーパーエージェント」は、公開から12カ月で売上ゼロから年間経常収益(ARR)2億5000万ドルに到達。2026年第1四半期だけで約1億5000万ドルを積み増した。これは企業向けソフト史上でも最速級のARR成長である。さらに、6000社以上の企業が導入し、口コミだけで広がったにもかかわらず、オープンAIやアンソロピックからも注目されている。
CEOのサム・アルトマンがニューヨークで開いたエンタープライズAI発表会に同社を招いたほか、アンソロピックとは「AIネイティブ」戦略の重要な1社として、モデルの方向性の議論や初期モデルのテスト、研究ベースでの協働にまで踏み込む。国際空港の広告でも主要パートナー6社の1つに数えられている。
検索エンジンからタスクエンジンへ
GensparkのCOO、ウェン・サンは自社の立ち位置を「フロンティアモデルの開発会社が作っているのはエンジン。私たちが作っているのは車」と説明する。フロンティアモデルは偏微分方程式すら解く能力があるかもしれないが、それ単体では座席もハンドルもない剥き出しの動力にすぎない。動力の周りに車体を組み上げ、乗った人を目的地まで運ぶ「車」をつくること、すなわちそのまま使える成果物をつくるAIを提供することがGensparkの使命だという。
同社は2023年12月に誕生し、2024年6月に最初の製品として検索サービスをリリース。中心創業メンバーでCEOのエリック・ジンはマイクロソフトでBingを、CTOのカイ・ジューはグーグルやバイドゥで検索サービスを手掛けてきた。サービスは一時、数百万人規模のユーザーを集める勢いを見せた。
しかし同社はすぐに問いを立て直す。ジンはマイクロソフト時代から「検索エンジンからタスクエンジンへ」という標語を掲げていた。「人は検索そのものを欲しているわけではない。プレゼン資料を作ったり、報告書をまとめることが真の目的で、その手前で検索をしているだけだ」と語る。
この転換が、Gensparkを単なる検索サービスから、仕事を終わらせるAIへと進化させた。スーパーエージェントは、複数のAIモデルを連携させて、ユーザーのタスクを自動的に完了する。例えば、市場調査からレポート作成、プレゼン資料の生成までを一貫して行う。
エージェンティックAIの台頭
Gensparkの成功は、エージェンティックAIの台頭を象徴している。従来のチャットボット型AIが対話に特化するのに対し、エージェンティックAIは自律的にタスクを実行し、成果物を生成する。Gensparkはこの分野で先駆者的存在となり、企業向けAI市場に新たな基準を打ち立てている。
同社の成長は、AIが単なるツールから、仕事のパートナーへと変貌しつつあることを示している。今後、Gensparkがどのような進化を遂げるのか、業界の注目が集まる。



