ガソリン車部品サプライヤー、EVシフトで岐路に
電気自動車(EV)シフトの加速により、ガソリン車向け部品を主力とするサプライヤーが厳しい経営環境に直面している。エンジンやトランスミッションなど、従来の内燃機関車に不可欠な部品の需要が減少し、多くの企業が事業の縮小や転換を迫られている。
部品点数はEVの場合、ガソリン車の約3分の1に減少するとされ、エンジン関連部品メーカーは特に打撃が大きい。業界団体の調査によると、2025年までに国内部品メーカーの約2割が事業縮小や撤退を検討しているという。
生き残りへ異業種参入の動き
こうした中、一部の部品メーカーは異業種への参入で活路を見いだそうとしている。例えば、岡山県に本社を置く自動車部品メーカーA社は、自社の金属加工技術を生かして医療機器部品の製造に乗り出した。同社の社長は「自動車部品だけでは将来が不安だ。医療分野は成長が見込めるため、新たな収益源として期待している」と話す。
また、愛知県のB社は、EV向けのモーター部品や充電インフラ関連の事業に軸足を移している。B社の担当者は「ガソリン車の需要が減るのは時間の問題。EV関連の技術を早期に確立し、競争力を高めたい」と述べた。
M&Aによる事業再編も加速
異業種参入と並行して、M&A(合併・買収)による事業再編も活発化している。業界全体で生き残りをかけた再編が進んでおり、大手機械メーカーによる部品サプライヤーの買収や、同業種間での統合が相次いでいる。
専門家は「部品メーカーの数は今後、大幅に減少するだろう。技術力や資金力のある企業が勝ち残り、そうでない企業は淘汰される」と指摘する。政府も産業競争力強化の観点から、自動車部品業界の再編を後押しする方針だ。
EVシフトによる雇用への影響
部品メーカーの事業縮小は雇用にも影響を及ぼしている。経済産業省の試算では、EVシフトにより2030年までに国内で約10万人の雇用が失われる可能性があるとされる。特にエンジンや排気系部品の製造に携わる労働者の再教育や配置転換が急務となっている。
一方で、EV関連の新たな雇用も生まれている。バッテリーやモーター、パワーエレクトロニクスなどの分野では人材需要が高まっており、従業員のスキルアップを支援する企業も増えている。
今後の展望:生き残りへの鍵
部品サプライヤーが生き残るためには、技術の多角化や新市場への進出が不可欠だ。自動車業界の構造変化は避けられず、早期の対応が求められる。
業界アナリストは「EVシフトはチャンスでもある。従来の部品にとらわれず、新しい技術やサービスを開発できる企業が成長するだろう」と分析する。異業種参入やM&Aによる事業再編が、今後の業界地図を大きく変える可能性がある。



