東京メトロ最少駅・西ケ原、再開発されない理由とは?大空襲と密集市街地の光景
東京メトロ最少駅・西ケ原、再開発されない理由とは

東京都北区にある西ケ原という街をご存じだろうか。東京メトロ南北線の西ケ原駅は、2025年度の一日平均乗降人員が9014人で、東京メトロ全駅の中で最も少ない。この数字は東京メトロ公式サイトの「各駅の乗降人員ランキング」によるもので、1万人を下回る唯一の駅だ。

本郷通りの北と南で異なる街並み

西ケ原駅は出口が2つしかない小さな駅で、いずれも地下鉄線路と並走する本郷通りに面している。この通りを境に、北側と南側では街の様子がまったく異なる。

北側には広大な敷地を持つ国立印刷局東京工場があり、隣接して花と森の東京病院、さらに滝野川公園、滝野川消防署、滝野川会館が点在する。一方、南側は狭く入り組んだ路地や昭和の趣を残す家屋が密集し、昔ながらの商店街が現役で営業を続けている。

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染井銀座商店街と霜降銀座商店街

南側の中心には「染井銀座商店街」と「霜降銀座商店街」がある。これらの商店街には現役の店舗が多く、昭和の雰囲気を色濃く残している。しかし、再開発の波はこの地域には及んでおらず、タワーマンションや高層オフィス、大型商業施設は見当たらない。

なぜ西ケ原は再開発されないのか

ショッピングセンター研究家・ライターの坪川うた氏は、連載「再開発されない街」の第5回で西ケ原を取り上げ、その理由を考察している。西ケ原の南側は、1945年の東京大空襲で甚大な被害を受け、その後に十分な都市計画が行われないまま、戦後復興の中で密集市街地が形成された。土地の細分化や権利関係の複雑さが再開発の障壁となっていると指摘する。

また、北側には大規模な公共施設が集中しており、新たな開発の余地が限られている。さらに、地域住民の間で再開発に対する合意形成が難しく、積極的な開発事業が進まない状況が続いている。

密集市街地の現状と課題

西ケ原の南側は、防火性能の低い木造住宅が密集し、道路が狭く緊急車両の進入が困難なエリアも多い。東京都は「密集市街地」に指定し、防災まちづくりを推進しているが、抜本的な再開発には至っていない。一方で、昔ながらの商店街や路地は観光資源としての可能性も秘めており、住民の間では「現状を維持したい」という声も少なくない。

坪川氏は「西ケ原は再開発されないまま、昭和の面影を残す貴重な街並みを保っている。しかし、防災面や高齢化などの課題も抱えており、今後の動向が注目される」と述べている。

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