世界の自動車市場は、かつてのような右肩上がりの成長を見せていない。1996年に5000万台を超えてから、2004年に6000万台、2007年に7000万台、2012年に8000万台、2016年には9000万台と順調に増加し、過去最高の9600万台を記録したのは2017年だ。このデータが作成された時点では、2022年に1億台、2025年には1億1000万台を超えると予測されていた。
新型コロナと価値観の変化が新車販売を直撃
しかし、2020年の新型コロナウイルス拡大を契機に、世界新車販売台数は8000万台を割り込んだ。その後回復したものの、2025年も9337万台にとどまり、1億台の大台を目前にして足踏み状態が続いている。最大の理由は、耐久消費財の主役が自動車からスマートフォンに交代したことだ。かつては「お金が貯まったらクルマを買いたい」という欲求が強かったが、現在は「クルマより最新のスマホが欲しい」という流れに変わった。
クルマとスマホでは価格が大きく異なるが、iPhoneなどの最新機種は十数万円する。そのため、「スマホも買って、さらにクルマも」というわけにはいかないのは当然といえる。
車の耐久性向上が新車需要を抑制
また、自動車の性能向上も新車販売の停滞に影響している。20~30年前であれば、10年落ちのクルマの品質は「それなり」だった。しかし、現在のクルマは耐久性が大幅に向上しており、10年落ちでも十分に乗り続けられる。「だったら中古車でいい」と考える人が増え、その結果、新車の販売が伸び悩んでいる。
さらに、物価高や搭載装備の充実により新車の販売価格が上昇していることも、新車購入をためらわせる要因だ。「新車は欲しいけど、中古車でがまんする」という消費者も少なくない。加えて、高齢化の進行により自動車を運転するユーザー数自体が減少していることも背景にある。
スマホ市場は拡大、2030年に16億台へ
コロナ禍からの回復期に、日本を含む先進国ではこうした価値観の変化が重なり、1億台に届きそうで届かない状況を生み出している。一方、スマートフォン市場は拡大を続けており、2025年の世界出荷台数は12億6000万台に達する見通し。2030年には16億台に近づくと予測されている。



