発売から5年が経過した今も、ランドクルーザー300(ランクル300)がプレミア価格で販売されている。この現象は特定の車種にとどまらず、ホンダ「シビック タイプR」やスズキ「ジムニーノマド」にも波及し、中古車市場全体で高騰が続いている。カーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎氏が販売店への取材を基に、その実情を報告する。
ランドクルーザーFJも受注停止、中古価格高騰へ
トヨタのランドクルーザーシリーズは、新車の納期遅延が常態化している。特に新型「ランドクルーザーFJ」は、発売直後から納期が大きく遅延し、すでに受注を停止している。販売店によると「受注再開のメドは立っていない」という。この状況が続けば、ランドクルーザーFJも他のシリーズと同様、中古車が新車価格を上回る可能性が高い。
シビック タイプR:受注停止で中古価格が新車の1.1~1.2倍に
ホンダ「シビック タイプR」は、2026年7月上旬時点で受注を停止。中古車市場では600万~700万円で流通している。最近まで販売されていたのは「レーシングブラックパッケージ」のみで、価格は標準仕様より100万円以上高い。それでも標準仕様の中古車価格は、この特別仕様と比べても1.1~1.2倍に達している。
ジムニーノマド:納期2年、中古車は新車価格の1.4倍
スズキ「ジムニーノマド」は受注を停止していないが、増産にもかかわらず納期は約2年に及ぶ。販売店の話では「納期は依然として長く、約2年かかる」という。その結果、新車価格292万6000円に対し、中古車価格は300万~400万円。400万円台となれば新車価格の約1.4倍になる。
受注停止の根本原因:メーカーの生産体制に問題
なぜ受注停止が頻発するのか。トヨタの場合、納期が6~9カ月に延びると受注を停止する傾向がある。理由は、納期遅延や改良、価格変更などの不都合を避けるためだ。受注を停止すると「買えないクルマ」となり、高年式中古車への需要が高まり、価格が高騰する。
渡辺陽一郎氏は「中古車価格を直接吊り上げるのは転売業者や個人だが、メーカーが国内需要に見合う台数を供給していれば、転売も高騰も生じない。根本原因は、国内需要に見合う生産量を確保できないメーカーの体制にある」と指摘する。
人気が落ち着いて価格が下がるケースも
一方で、一部車種では時間経過とともに中古車価格が下落する例もある。例えば、トヨタ「GRヤリス」は発売当初高騰したが、生産が安定するにつれて価格は落ち着いた。ただし、ランドクルーザー300やシビック タイプRのように、長期間にわたってプレミア価格が続く車種も存在する。
中古車市場の混乱は、消費者にとって購入のタイミングや価格判断を難しくしている。投機対象としての側面が強まる中、メーカーの生産計画と需要予測の精度が今後の市場安定の鍵を握る。



