日本の自動車産業は、全就業人口の約8.2%にあたる約559万人(2024年)が従事する巨大産業である。これは日本で働く人のおよそ10人に1人弱が自動車関連の仕事に携わっていることを意味する。自動車メーカーはトヨタやホンダなど5~6社が思い浮かぶが、業界団体である日本自動車工業会(JAMA)に加入している完成車メーカーはわずか14社だ。
自動車産業のピラミッド構造
自動車ビジネスの特徴は、全体で大きなピラミッド構造を形成している点にある。14社の完成車メーカーの下には、部品を供給するサプライヤーが多数存在する。Tier1(1次サプライヤー)はデンソーやアイシンなど比較的大きな企業で、完成車メーカーに直接部品を納める。Tier2はTier1に部品を供給し、Tier3、Tier4と階層が続く。5次や6次になると、例えば1種類のネジだけを製造する社員5人程度の町工場も含まれる。これらの企業数は膨大で、さらに販売、整備、レンタカーなどの関連サービス企業も無数に存在する。このピラミッド構造は日本独自のものではなく、各国で共通している。
なぜピラミッド構造が生まれたのか
かつて自動車メーカーは、ネジ一本に至るまで全てを自社で製造していた。しかし従業員数や部署数が膨大になり非効率だったため、部品製造部門を分離し、まとめて納入できるサプライヤーから購入するスタイルが一般化した。これにより効率化が進み、現在のような分業体制が確立された。
自動車産業の経済的重要性
自動車は日本を支える基幹産業である。製造品出荷額は約70兆円で、製造業の中で電気機器などを抑えてトップ。輸出額も約22兆円と全体の2割を占める。多くの雇用を生み、関連産業を含めると経済への影響は計り知れない。もしこの産業が傾けば日本経済に深刻な悪影響を及ぼすため、政府はトランプ関税などの脅威に対して必死の対策を講じている。
クルマ離れの実態
近年「クルマ離れ」が叫ばれるが、その背景には若者の所得減少や都市部での公共交通機関の充実、カーシェアリングの普及などがある。しかし自動車産業の雇用吸収力や経済波及効果は依然として大きく、基幹産業としての地位は揺るがない。自動車産業の変化に対応しながら、日本経済を支え続けるための施策が求められている。



