スバルは群馬県館林市に位置する矢島工場を大規模改修し、2026年2月から稼働を開始した。同工場は「100年に一度といわれる自動車大変革の時代における生き残りをかけて」設計・運営されており、新たなコンセプト「変種変量短生産」を掲げている。
新工場の背景と目的
スバルは2025年11月に「SUBARU 2025方針」を策定し、「存在感と魅力ある企業であり続けるための道筋」を示した。その中核テーマが「柔軟性」である。スバルの渡邊郁夫常務執行役員(CMzO兼技術本部副本部長)は、「いろいろな政策の状況や市場の需要動向が大きく変化する中、我々の事業規模では、柔軟性の追求を抜きにこの変化の時代に生き残っていけないという危機感が強くありました」と語る。
矢島工場では、従来の大量生産方式から脱却し、異なる車種を同一ラインで柔軟に生産する体制を整えた。具体的には、SUV「トレイルシーカー」とトヨタからOEM供給を受ける「bZ4Xツーリング」の混流生産が行われている。これらの車種はプラットフォームやパワートレインが異なるため、生産ラインには高度な柔軟性が求められる。
変種変量短生産の実現
新工場の最大の特徴は「柔軟性の徹底的な追求」にある。渡邊常務は「いろいろな政策の状況や市場の需要動向が大きく変化する中、我々の事業規模では、柔軟性の追求を抜きにこの変化の時代に生き残っていけないという危機感が強くありました」と述べ、変種変量短生産への転換が生き残りの鍵だと強調する。
具体的には、生産ラインのレイアウトをモジュール化し、車種変更時の段取り替え時間を大幅に短縮。また、部品供給のロジスティクスも見直し、必要な部品を必要なタイミングで供給するジャストインタイム方式を徹底している。これにより、需要変動に柔軟に対応し、在庫リスクを低減する。
工場の立地と地域への影響
矢島工場は東北自動車道・館林インターチェンジから国道354号を30分以上走った場所に位置する。工場周辺にはインド、フィリピン、タイなどアジア各国の国旗を掲げた店舗が点在し、多くの外国人労働者が生活している様子が伺える。これは大規模工場がある町特有の光景であり、地域経済への貢献も大きい。
今後の展望
スバルは矢島工場での変種変量短生産のノウハウを、他の完成車工場へも展開する計画だ。渡邊常務は「この工場はスバルのモノづくりの未来を象徴する存在。変化の時代に柔軟に対応し、持続可能な成長を目指す」と語る。矢島工場の取り組みは、自動車産業全体の製造モデルに新たな基準を打ち立てる可能性を秘めている。



