エヌビディアの創業者兼CEO、ジェンスン・フアン氏が7月15日に緊急来日し、東京・神田で「やきとんサミット」を開催した。このサミットには半導体製造装置、メモリ、材料、電子部品など15社から30名以上の幹部が集まり、アドバンテスト、東京エレクトロン、京セラ、三菱電機、村田製作所、パナソニックホールディングス、ルネサスエレクトロニクス、住友電気工業、太陽誘電、TDK、キオクシア、三井金属、旭化成、日東紡、信越化学工業、芝浦メカトロニクスの首脳が参加した。
「やきとんサミット」とあんパン配布
フアン氏は15日夜、東京・神田の「やきとん三吉」でのサミット終了後、周辺であんパンを配布するサプライズを行った。16日には国策AI会社Noetra(ノエトラ)との提携発表や、セガとのイベント開催など、2日間にわたって精力的に動いた。赤沢亮正経済産業大臣は革ジャン姿でフアン氏のコスプレを披露し、満面の笑みを見せた。
エヌビディアの19兆円コミットメント
エヌビディアは決算で、サプライヤーとの買取契約(コミットメント)額が1190億ドル(1ドル=160円換算で約19.04兆円)に上ると開示している。このうち約8割は2027年1月末までに支払われ、残りも2031年までに支払われる予定だ。同社のGPUはAIデータセンターに不可欠で、フラッグシップのBlackwellは搭載ボード価格が600万円と高額ながら、納品まで1年待ちと報じられている。
日本企業の立場:買い手から売り手へ
これまで日本はエヌビディアのGPUを入手する「買い手」としての立場が強かった。しかし、エヌビディアが世界のサプライチェーンにばらまく巨額の資金は、日本企業にとってサプライヤーとして恩恵を受けるチャンスでもある。台湾や韓国ではエヌビディアは重要な「売り先」となっており、日本企業もこの流れに乗れるかが問われている。
ジャパンディスプレイの教訓
ただし、巨額マネーは劇薬でもある。かつてジャパンディスプレイ(JDI)はアップル向け液晶パネルに過度に依存し、経営危機に陥った。エヌビディア依存が高まれば、同様のリスクが生じる可能性がある。日本企業はバランスを取りながら、エヌビディアとの関係を構築する必要がある。
今後の展望
エヌビディアのGPU需要は今後も拡大が見込まれ、日本企業にとって半導体製造装置、材料、電子部品などの分野で受注機会が増えると期待される。しかし、競争は激しく、技術力と供給体制の強化が不可欠だ。日本が「買い手」から「売り手」へと転換できるか、今後の動向が注目される。



