世界的な電気自動車(EV)シフトが加速する一方で、ガソリン車の新型車も相次いで市場に投入され、自動車業界はかつてない二極化の様相を呈している。各メーカーは環境規制への対応と、依然として根強いガソリン車需要の両立を迫られており、その戦略は多様化している。
ガソリン車の新型車が続々登場
トヨタ自動車は2023年、ガソリン車の新型「クラウン」を発売した。同車はハイブリッドモデルが中心だが、ガソリンエンジン搭載車もラインアップに含まれる。また、マツダは2022年にガソリン車の新型「CX-60」を投入し、高級路線を強化している。これらの動きは、EVへの移行が急速に進んでいるわけではないことを示している。
実際、2022年の世界新車販売に占めるEVの割合は約10%にとどまっており、依然としてガソリン車が主流である。国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2022年の世界のEV販売台数は約1000万台で、前年比55%増加したものの、総販売台数約1億2000万台のうちの一部に過ぎない。
市場の二極化が加速
自動車市場では、EVとガソリン車の二極化が進んでいる。特に、中国や欧州ではEVの普及が進む一方、北米や新興国ではガソリン車の需要が根強い。日本でも、EVの販売は伸び悩んでおり、2022年のEV販売シェアは約1.7%と低水準だ。
この背景には、充電インフラの不足や車両価格の高さ、航続距離への不安などがある。また、ガソリン車に比べてEVの選択肢が限られていることも、普及の障壁となっている。
各メーカーの戦略
各自動車メーカーは、EVとガソリン車の両方を開発し、市場のニーズに応えている。トヨタは、2026年までにEVの年間販売台数を150万台に引き上げる計画だが、同時にガソリン車やハイブリッド車の改良も続けている。ホンダは、2040年までにEVと燃料電池車の販売比率を100%にする目標を掲げるが、当面はガソリン車の生産も継続する。
一方、日産自動車は、EV「リーフ」の成功を基盤に、2023年以降にEVの新モデルを投入する計画だ。しかし、ガソリン車の新型「エクストレイル」も好調で、両軸の戦略を取っている。
消費者の選択肢拡大
消費者の間では、EVに興味を持ちつつも、実際の購入に踏み切れない層が多い。ガソリン車の新型車が続々登場することで、選択肢が広がり、結果的に市場の二極化がさらに進む可能性がある。
専門家は、「自動車業界は過渡期にあり、EVとガソリン車の両方が共存する時代が続く」と指摘する。各メーカーは、環境規制への対応と顧客ニーズのバランスを取りながら、製品開発を進める必要がある。



