EVシフトの陰で伸びるガソリン車、新興国市場が支える需要
EVシフト陰で伸びるガソリン車、新興国が需要支える

世界的な電気自動車(EV)シフトが加速する中で、ガソリン車の需要が新興国を中心に依然として強いことが明らかになった。脱炭素化の流れが先進国で進む一方、価格や充電インフラの整備が遅れている新興国では、ガソリン車の販売が今後も拡大するとみられている。

新興国市場がけん引するガソリン車需要

国際エネルギー機関(IEA)の最新報告書によると、2023年の世界の自動車販売台数は約8600万台に達し、そのうちEVは約1400万台と約16%を占めた。しかし、残りの約7200万台はガソリン車やディーゼル車などの内燃機関車であり、絶対数では依然としてガソリン車が主流だ。

特にインドや東南アジア、アフリカなどの新興国では、EVの普及率が低く、ガソリン車の需要が堅調に推移している。インド自動車工業会(SIAM)のデータによると、2023年のインドの乗用車販売台数は約410万台で、そのうちEVはわずか約8万台(約2%)にとどまる。同国では、ガソリン車の販売が前年比で約8%増加しており、経済成長に伴う中産階級の拡大が需要を押し上げている。

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価格とインフラが壁に

EVの普及を阻む最大の要因は価格だ。新興国では、EVの販売価格がガソリン車に比べて依然として高く、多くの消費者にとって手が届かない。また、充電インフラの整備も遅れており、インドでは充電スタンドの数が約1万基と、ガソリンスタンドの約7万基に比べて大幅に少ない。

「新興国では、EVは富裕層向けの製品に過ぎない。価格が下がらない限り、ガソリン車の需要は続く」と、インドの自動車部品メーカー、マーティ・スズキの幹部は指摘する。同社はガソリン車の生産を継続しつつ、低価格のハイブリッド車も投入する計画だ。

自動車メーカーの戦略

こうした状況を受け、各自動車メーカーは新興国向けにガソリン車の新型モデルを投入している。トヨタ自動車は2023年、インドでガソリン車の新型SUVを発売し、好調な販売を記録した。同社は、EVとガソリン車の両方を軸とする「マルチパスウェイ戦略」を掲げ、地域ごとの需要に応じた車種を展開する方針だ。

一方、フォルクスワーゲンは、新興国向けに低価格のガソリン車を開発中だと報じられている。同社のCEOは「EVシフトは重要だが、新興国市場を無視することはできない」と述べ、ガソリン車の需要を引き続き取り込む姿勢を示している。

脱炭素との両立は可能か

ガソリン車の需要が続くことは、気候変動対策の観点から課題を残す。運輸部門のCO2排出量は世界全体の約4分の1を占め、その大部分はガソリン車によるものだ。しかし、新興国では経済発展と環境対策のバランスが求められる。

IEAの試算によると、新興国でEVの普及が進まなければ、2030年までに運輸部門のCO2排出量は現在より約10%増加する可能性がある。これに対し、国際的な環境団体は、新興国へのEV普及支援や、より厳しい燃費規制の導入を求めている。

ガソリン車の需要は、当面は新興国を中心に続くとみられる。自動車業界は、地域ごとの特性を見極めながら、脱炭素と経済成長の両立を模索する必要がある。

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