「空飛ぶ焼酎」が好評、耕作放棄地で育てたサツマイモ原料に航空会社と自治体が連携
「空飛ぶ焼酎」好評、耕作放棄地活用の芋焼酎プロジェクト

鹿児島県枕崎市の耕作放棄地で育てたサツマイモを原料とした芋焼酎「そらより。」が、航空会社ソラシドエア(宮崎市)の機内販売で好評を博し、当初計画分が完売した。このプロジェクトは、人口減少や高齢化が進む枕崎市の課題解決を目指し、市や航空会社、地元酒造メーカーなどが連携して2024年春に始動。第2弾の焼酎造りもすでにスタートしており、関係者は「枕崎の魅力を広め、訪れるきっかけにしてほしい」と期待を寄せている。

耕作放棄地を活用した焼酎プロジェクトの背景

枕崎市の人口は約1万8100人で、1955年のピーク時からほぼ半減。高齢化率は40%を超え、耕作放棄地は81.1ヘクタール(2026年4月現在)に及ぶ。こうした状況を受け、市、ソラシドエア、芋焼酎「さつま白波」などを手がける薩摩酒造(枕崎市)、地域課題解決に取り組む地域商社推進機構(同)が協力し、2024年春にプロジェクトが始まった。

今回サツマイモを植えたのは、市南部の約2000平方メートルの畑。約4年前に借り手がなくなり、荒れ地となっていた。参加者たちは2024年6月に草刈りと耕起を行い、2025年4月に計約4000本の苗を植え付け、半年後に収穫した。収穫したサツマイモは、畑近くの薩摩酒造「花渡川蒸溜所」で蒸留され、地下のつぼで約半年間熟成された。

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機内販売で完売、若者にも受け入れられる味わい

2026年6月25日、宮崎発羽田行きの機内で、客室乗務員の八色彩花さん(29)が「枕崎の使われなくなった畑で育てたイモで造った焼酎です」と乗客に呼びかけた。八色さんは普段は羽田を拠点に勤務するが、草刈りや苗植えなどのたびに枕崎に通い、「この焼酎は我が子のような存在。一人でも多くの人に枕崎と焼酎の魅力を伝えたい」と語る。

商品名「そらより。」には、「機内や旅先からの贈り物」という意味が込められている。300ミリリットル入りで1430円(税込み)。2026年4月から1000本限定で鹿児島空港や薩摩酒造の公式サイトなどで販売され、ソラシドエアの機内販売分も含めて当初の計画分は完売した。ソラシドエアは羽田と九州各県を結ぶ路線を中心に14路線を運航しており、鹿児島県外の乗客に枕崎をPRする狙いがある。

焼酎業界は若者の酒離れなどで苦境に立つ。国税庁によると、本格焼酎の2024年度国内消費量は34万6000キロリットルで、2014年度の46万2000キロリットルから約3割減少した。そこで今回のプロジェクトでは、焼酎を飲まない若者にも関心を持ってもらえるよう、かんきつ系の香りが特徴の品種「サツマアカネ」を多めに使用。芳醇な香りが出やすい常圧蒸留を採用し、度数を通常の半分の12度に抑えてすっきりと飲みやすい味に仕上げた。酒質を決めた薩摩酒造の秋満久都さん(27)は「スイートポテトのような味わいを目指した」と話す。

第2弾スタート、関係人口の増加を目指す

苗植えや収穫には、地元の保育園児やソラシドエアの新入社員ら計100人が参加。新入社員たちは畑作業の前日に地域住民と芋焼酎を飲むなどして交流を深めた。2026年4月には、栽培するイモの品種を変えて第2弾の芋焼酎造りがスタート。枕崎市企画調整課の守崎伶さん(28)は「焼酎を通じて関係人口を増やし、地域を盛り上げていきたい」と意気込む。

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