世界の電気自動車(EV)市場で販売減速が顕著になる中、日本メーカーにはハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を含む多様な電動化戦略で巻き返すチャンスが生まれている。電池調達の多様化とコスト競争力の向上が鍵となる。
EV販売減速の背景と日本メーカーの立ち位置
2024年に入り、世界のEV販売は前年比で伸び率が鈍化している。特に欧州では補助金縮小や充電インフラ不足が響き、EV需要が一服。中国市場でも競争激化による値下げ合戦が利益を圧迫している。一方、日本メーカーはHVで強みを持ち、トヨタは2023年にHVを世界で約340万台販売。EV専業メーカーに対し、顧客の多様なニーズに応える柔軟性が評価されている。
電池調達の多様化が競争力の鍵
電池はEVのコストの約3割を占め、調達先の多様化が急務だ。日本メーカーはパナソニックやGSユアサなど国内電池メーカーとの連携を強化する一方、中国のCATLや韓国のLGエナジーソリューションとも提携。トヨタは2026年までに次世代電池「バイポーラ型ニッケル水素電池」を投入し、コストを現行比40%削減する計画だ。日産は独自の全固体電池を2028年までに実用化し、航続距離を50%向上させる目標を掲げる。
HV戦略の再評価と市場の反応
EV販売減速を受け、HVの需要が再び高まっている。2024年上半期の米国HV販売は前年比約30%増。トヨタの「プリウス」は2023年に米国で約12万台を販売し、HV人気を牽引。ホンダも「シビックe:HEV」を投入し、HVラインアップを拡充。アナリストは「日本メーカーのHV技術は成熟しており、コスト競争力も高い。当面はEVとHVの両軸で市場に対応するのが賢明」と指摘する。
日本メーカーの課題と今後の展望
日本メーカーの課題は、EV専業メーカーに比べソフトウェア面での遅れだ。テスラや中国の比亜迪(BYD)は自動運転やコネクテッド技術で先行。日本メーカーは2025年以降、次世代車載OS「Arene」を搭載した車種を投入し、巻き返しを図る。また、電池の安定調達には鉱山資源の確保も重要で、トヨタは豪州でのリチウム鉱山開発に出資。日本政府も2030年までに国内電池生産能力を150GWhに拡大する目標を掲げ、官民一体で支援する。
EV市場の減速は一時的との見方もあるが、日本メーカーにとってはHVを含む現実的な戦略で優位に立つ好機。電池調達の多様化とコスト低減、ソフトウェア強化が競争力の鍵を握る。



