日本製鉄グループ、EE東北'26で建設業界の課題解決を提案
日本製鉄グループがEE東北'26で新技術を展示

日本製鉄グループ、EE東北'26で建設課題解決を提案

日本製鉄と日本製鉄グループ5社(日鉄エンジニアリング、日鉄建材、日鉄スラグ製品、ジオスター、日鉄ケミカル&マテリアル)は、2026年6月3日から4日までの2日間、宮城県仙台市の夢メッセみやぎで開催された「EE東北'26」に、製品や工法を紹介するブースを出展した。

展示会の目的

「EE東北'26」は、企業、行政関係機関、学校などが建設事業に関わる新技術、新工法、新材料、その他時代のニーズに対応して開発された技術を公開し、その普及を図ることで、新たな技術開発の促進と良質な社会資本の整備を通じて社会に貢献することを目的とした展示会である。

日本製鉄グループの出展内容

今回の日本製鉄グループのブースでは、建設技術展であることから、建設業界が抱える人手不足、省力化、コスト削減などの課題解決に寄与できる製品や工法が展示された。ここでは各グループ企業の展示から特徴的なものを紹介する。

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建設ソリューションブランド「ProStruct」

日本製鉄ブースでは、同社が立ち上げた建設ソリューションブランド「ProStruct」のコンセプトに基づく、ハイパービームやハットコネクターなど、単なる材料だけでなく工法とセットで提供することにより、建設業界の課題に対応できる製品が紹介された。

鋼管杭×システム仮設工法(勘トリイ工法、即結管べえ)

「鋼管杭」の高強度性能を活かしたシンプルな下部工に加え、鋼管杭打設と並行地組した下部工を機械式継手「即結管べえ」を用いて一括架設する「勘トリイ工法」により、大幅な工期短縮、人手不足解消、安全性向上を実現したソリューションである。従来のH型鋼を使った工法よりも長スパン化が可能で、鋼材料削減、加工省力化を実現し、低コスト化、工期短縮に貢献する。また、機械式継手「即結管べえ」の施工誤差吸収機能により、下部工の調整作業を削減できるほか、下部工と杭施工の同時作業と一括架設が可能となることで、ブレースなどの高所作業や溶接作業を省略し、工期削減を実現する。

ハイパービーム×薄肉ウェブ設計技術

日本製鉄独自の設計技術により、外形一定H型鋼である「ハイパービーム」の特徴である薄肉ウェブ断面を耐震部材として活用し、梁の軽量化を実現する。本工法では、地震時に生じるH型断面梁の局部座屈・せん断座屈の評価を精緻化することで、H型断面が本来有する変形能力を最大限評価し、従来設計では活用できなかった薄肉ウェブ断面を耐震部材として使用可能としている。この工法で規定される梁部材の設計を行うことで、梁の部材種別を向上させ、薄肉ウェブ断面活用により鋼材重量やCO2排出量の削減に貢献する。

ハット形鋼矢板×現場省力化接続ツール(NSコネクター)

「NSコネクター」は、鋼矢板壁の多様な法線に対応できるハット形鋼矢板用接続部材で、異形鋼矢板加工の省略によりトータルコスト削減と工期短縮を実現するソリューションである。従来、接続部分は溶接によって加工されていたが、NSコネクターの利用により工数削減を実現し、鋼矢板の事前加工も不要となるため工期短縮にも貢献する。

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メトロデッキ(路面覆工板)

日本製鉄の「メトロデッキ」は、地下鉄工事をはじめ、地下街の建設、地下配管工事などの各種路面掘削工事や、仮設橋梁、作業構台などに使用される路面覆工板である。会場では通常のメトロデッキに加え、静音性に優れる「メトロデッキ Noise Blocker」も合わせて展示され、高い静音性を示すデモンストレーションも行われた。「メトロデッキ Noise Blocker」は、デッキ内部に防振材となる鋼板を挿入することで振動を抑制しているのが特徴で、鋼板を挿入すれば従来型でも同様の静音性を実現できるという。

鉄製免震デバイスで建物の安全性向上

製鉄事業で培った鋼構造技術やエンジニアリング力を基に、産業・都市の基盤となる建物を提供する日鉄エンジニアリングでは、鉄の技術を活かした免制震デバイスを紹介した。免震デバイスである「NS-SSB」は、振り子の原理を活かした球面すべり支承材である。免震デバイスの主流はゴム製だが、NS-SSBは日本製鉄グループならではの鉄製で、大規模建物でも軽量建物でも免震効果を発揮し、装置が非常にコンパクトなのが特徴である。建物の重さを支えるのも、揺れを吸収するのもすべてこの製品だけで完結し、柱の下に設置するだけで建物を耐震構造から免震構造にできる。

工事現場や雪崩対策を支える防護技術

日本製鉄グループの日鉄建材の道路関連事業と神戸製鋼所グループの神鋼建材工業が2021年に統合して設立された日鉄神鋼建材が開発する「レーンバリア」は、工事規制箇所において一般車両が誤って進入する事故が多発する中、作業者の安全性確保を目的に開発された防護柵である。従来は車両進入抑止機能のないラバーコーンなどによる視覚的な対策が主流だったが、東日本高速道路と鋼製防護柵協会との共同で開発されたレーンバリアは、ドライバーへの視線誘導効果、車両進入抑止効果、作業者の安心感向上など、安全性の向上が期待できる。

日本製鉄グループの総合建材メーカーである日鉄建材の「ランバス・スノー」は、エネルギー吸収型積雪対応(雪崩予防)落石防護柵である。落石エネルギー100kJの落石防護性能を有しつつ、設計積雪深3mに対応可能である。支柱はアンカーで地山に係留する構造のため大掛かりな基礎が不要で、大幅な工期短縮が期待できる。ネットは伸縮自在性のあるワイヤロープネットをカーテン式に設置する構造で、斜面の起伏などにフレキシブルに対応可能であり、雪崩や落石による複合災害から安全を守り、現場施工の効率化・省力化に貢献する。

製鉄副産物を活用したリサイクル建材

製鉄時の副産物として発生する鉄鋼スラグを高品質なリサイクル製品として安定供給し、社会のニーズに貢献する日鉄スラグ製品は、転炉系製鋼スラグを原料として成分管理と粒度調整を施したガルシア改質材を軟弱な浚渫土に混合し、物理的・化学的性状を改質したガルシア改質土を製造する。ガルシア改質土は法面成形が可能な非液状化材料であり、軟弱な浚渫土の強度改善、濁りの発生抑制、安全性・耐久性の確保が可能で、埋立材、航路埋没対策用材、腹付け材、中仕切り堤材、浅場・干潟基盤材、環境修復用材などに活用される。

CO2削減を目指す環境配慮型コンクリート

土木用大型コンクリート製品のトップメーカーであるジオスターが展開する「G-SaveWhite」は、カーボンニュートラルの実現に向けて、セメントの一部を製鉄所の産業副産物である高炉スラグ微粉末に置換することでセメント使用料を大幅に削減し、CO2排出量の低減に貢献するジオスター独自の環境配慮型コンクリートである。普通セメントを高炉スラグ微粉末に59%置換したE59、69%置換したE69、さらに81%置換したE81の3種類がラインナップされているが、CO2を8割カットできるE81の実用化は約2年後の予定である。セメントを高炉スラグに置換することで、少しもろさが出るものの、粘りが増すほか、コンクリートが緻密化される結果、塩分の高い環境で強みを発揮するという特徴がある。

炭素繊維シートでインフラの長寿命化

ケミカルとマテリアルを融合し、独自の素材技術を活かした社会貢献を目指す日鉄ケミカル&マテリアルの「PL-CF工法」は、鋼構造物の新しい補修・補強工法である。腐食により低下した性能を回復させたり、性能を健全より向上させたりする工法で、従来の当て板工法などに代替する最新の炭素繊維シートによる鋼構造物の長寿命化・老朽化対策工法である。同ブースでは炭素繊維シートを展示。原料となる炭素は、日本製鉄が鉄を製造する際に排出される副産物を利用している。炭素に熱をかけて繊維状にしてシート化し、炭素繊維は一本あたり髪の毛の十分の一程度の細さで、展示されていたシート1枚あたり約100万本の繊維が使用されている。引張強度は鉄の10倍以上で、構造物の補修・補強に使用されている。