「アジフライ100枚と20枚、どちらが早く売り切れるか」鈴木敏文の意表を突く答え
アジフライ100枚と20枚、どちらが早く売り切れるか

先日鬼籍に入ったセブン‐イレブン創業者の鈴木敏文氏は、顧客心理の読み方の天才とも言われていた。ジャーナリストの勝見明氏が、鈴木流心理学経営を解説する。

競合出現はチャンス

一般的に、自店と商圏が重なるところに競合店が出店すれば、「強敵出現=ピンチ」と考えがちだ。しかし、鈴木流の発想では逆に「チャンス」ととらえる。鈴木氏は「競合店と比べてよいか悪いかを評価するのは、自分たちではなく、顧客の側です。競合店の出店は、顧客に自分たちの提供する商品やサービスのよさを比較して評価してもらえる物差しができたことになります。コンビニの場合ですと、商圏に1軒増えたことで、コンビニに対する関心や認知度も高まります。とすると、店にとっては、自分たちの店の価値を顧客にあらためて感じてもらえるチャンスになるのです」と語っていた。

鈴木氏は、ものごとを常に「陽」と「陰」の両面からとらえる。誰もが「陰」の面にとらわれがちなときに、「陽」に目を向ける。ここに鈴木流の逆転の発想がある。

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アジフライの在庫と売れ行き

鈴木氏は「アジフライ100枚と20枚、どちらが早く売り切れるか」という問いに対し、意表を突く答えを返した。通常、在庫が多いほど売れるとは限らないが、鈴木氏は「100枚あった方が、お客様に『たくさんあるから買おう』という心理が働き、結果的に早く売り切れる」と説明。これは、顧客の心理を読んだ発想であり、在庫を豊富に並べることで購買意欲を刺激するという逆転の戦略である。

心理学経営の3つの柱

鈴木流経営学では、顧客の心理を読んで潜在的ニーズをつかむことを何より重視したため、「心理学経営」と呼ばれた。人間心理の重視は、顧客だけでなく、店舗経営における従業員の心理、さらにはマネジメント全般におけるリーダーの心理にも目を向けた。

そこで、「(1)顧客の心理を読む」「(2)店舗運営のポイント」「(3)リーダーの心得」の3つの面から、10個の質問を設定し、それに答える形で鈴木流心理学経営を掘り下げる。

(1)顧客の心理を読む

① なぜ、競合相手の出現はチャンスになるのか ―― 鈴木氏は「競合店の出現は、自店の価値を再認識させる機会」と捉えた。

② アジフライの例に代表されるように、在庫数の多さが購買心理に与える影響を重視。

(2)店舗運営のポイント

「お客様のために」と「お客様の立場で」は違うという考え方を徹底。ドミナント戦略により、地域集中出店で認知度を高め、物流効率を向上させた。

(3)リーダーの心得

リーダーは「ティーチャー」たれと説き、自ら率先して現場を教える姿勢を重視した。

鈴木氏は5月18日に逝去されたが、その経営哲学は今も多くのビジネスパーソンに影響を与えている。

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