仕事を教えていると、相手の得意・不得意が見えてくる。心理カウンセラーで(有)ヒューマン・ギルド研修部長の永藤かおる氏は、このとき「どう教えれば苦手を克服できるか」と考えがちになるが、それはあまり良い成果をもたらさないと指摘する。
苦手克服より「得意を伸ばす」
学校の勉強を思い出してほしい。数学はいつも50点を取るのがやっとの苦手科目、国語は最低でも70点は取れる得意科目だったとする。「数学を70点にしよう」と言われるのと「国語をさらに伸ばそう」と言われるのでは、どちらが苦痛だろうか。苦手な数学と感じる人が多いはずだ。
チームの総合力で高得点を取る
仕事の現場はチームの総合力で成果を出す。「チームでそれぞれの得意なところを活かして高得点を取ること」が求められるのであり、誰かの苦手はそれを得意な人が補えばいい。それぞれが得意なことをより伸ばすほうが、チームとしての総合力は上がるという。教える側も楽になり、メンバーのストレスも減って仕事への満足度も高まる。
避けて通れない経験だけに取り組ませる
得意・不得意に関係なく取り組ませることに意味があるのは、「これを知らないと、この仕事ができない」「ここを一度通っておかないと、次のステップに進めない」といった避けて通れない経験だ。「苦手を克服するのも勉強」「嫌なことでもやるのが社会勉強だ」という根性論は不要としている。
苦手なことを無理にやらせるのは本人を無駄に苦しめるだけで、行きすぎると退職のきっかけになる危険性すらある。会社の事情で、コミュニケーションが苦手な人が営業に配属されるケースもあるが、その後のキャリアのためにも取り組ませる必要があるとも言われる。
苦手と向き合わせるときに伝えるべきこと
苦手なことに取り組むのは、本人にとって大きなストレスだ。だからこそ教える側は、それが本人にとって苦手なテーマだと十分理解していると示したうえで、「なぜこの経験が必要なのか」「どこをゴールにしているのか」を、あらかじめきちんと伝えることが必須になる。



